「昔ASCCのHPに掲載されとったnanaさんの記事を探してみたけど、無いね。まあいっぺん見たいんだけど、blogの方に再掲してくれんかなぁ・・・」とのご要望に応えて
【1999.06.14 ASCCのホームページ上にて公開(原文のまま)】
前回お話した、ぶっこみ浮き仕掛け(私達はこの様に呼んでいる)の釣りは、自分達のまたか釣りの革命であったように思います。
その後50、60cmは当たり前。 70cm超えの世界に突入してしまいました。
そしてある晩の事でした。
梅雨の合間のその日ははるか沖に低気圧が あり、前日に適度な雨があり、大潮あとの中潮、午後8時満潮、無風、 曇空、細かい振幅の波気が南方向より赤羽根港内にあり、いかにも 大型魚が港内に入っている感がありました。
その頃には、餌屋から釣果を聞いた釣り人がかなり増えていました。
西堤の上もかなりの釣り人です。 その日も太田君との釣行。たまたま空いていた、いつもの釣り座に 1本ずつセットして待つ事10分。
太田君の竿に、前アタリの後に鋭い本アタリが。
リアドラッグを締め直して磯竿5.3m3号を大きくあわせを入れる。竿が大きくしなった瞬間、ふっと軽くなった。ハリス4号で痛恨のあわせ切れ。
大きなため息の後、「でかかった、超でか目が今日は入っている!」
その声と共に堤防の上はいつもとは違った空気が漂います。
私は4.5mの磯竿4号、リールRD3000、道糸フロロ4号は前夜に新品を巻き直したばかり。
ハリスはケブラート2号、針はまるせいご18号。万全です。
数分後、私にも今夜初のアタリ。
きた!のった!ラインが重々しく出て行きます。
ドラッグを締め直して合わせる。
でかい…。これはとてつもなくデカイ。 いままで経験の無い引きです。
いきなり竿は極限状態。 ドラグを少し緩めにして耐える。
見知らぬ周りの人が竿をたたんで場所を空けてくれる。「時間をかけてもとれよ!」の声に「ありがとう、時間、計ってね」 と今日は余裕の返事ができる。
道糸が強張りし、ひゅーと音をたてている。
魚が動く度にドラッグがジーと音をたてて糸が出ていく。
魚が泳ぐ( 尾びれを動かす動作 )のが糸を通じて手に感じる。
初めての経験。
緊迫と至福の時が流れる。
でも全然、よせる事が出来ない!
少し焦りを感じながらも時が過ぎていく。10分がたち、手も痺れてきた。
自分のタックルを信じて勝負を賭けようと思った瞬間。
見透かしたように相手は大きく動いた。
「あっ」の一言。
至福の時はあっけなく終わった。
巻き上げたラインを、震える手でタバコに火を付けゆっくりと吸いながら確認する。まさかの道糸結節部のブレーク。
釣りをしていて初めて感じた魚相手の敗北感。
数日の間、なぜか赤羽根詣出を止めた。
でも爽快感が残っていた・・・。

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