今日は16時起きイイイイイイイイイィィィィィィィィィィィィ!
今日が……始まる。 ( ー`дー´)キリッ
緩勾配の風景D
夏期休暇が近づき、最後の講義が迫って来る。雨は、傘など意味を為さぬとでも言いたげに、人々の足元を濡らしている。正志は、そんな雨天の中、何日かぶりに大学の教室に入った。期末試験の情報を得ておくため、普段は行かない講義にも足を運ぶ。といって、内容が耳に入るわけでもなく、いつの間にか意識が切れ切れになってくる。
結局何の収穫も無く午前中の講義を終えた正志は、帰宅する道筋を考え始めた。一度帰ろうと思い立つと、中々その考えを引っ込めることはできないものである。食堂を出た正志は自転車にまたがり、傘を広げた。
「正志、もうお帰りか?」
はっとして声のする方向を見ると、同じ学部の佳之がいた。
「ああ、残念ながら今日は忙しいから」
正志は困ったような顔を作って言った。
「お前、年がら年中忙しいようだけど、あんまり大学を留守にすると単位が届かんぞ」
「大丈夫、そんな時は誰かに受けとってもらえば良いさ」
それを聞くと、佳之は笑って、
「あいにく、その日は皆自分のお届け物をもらう為に大学にいると思うが」と答えた。
「そこなんだよ」と正志は答えた。「皆自分の単位で精一杯らしい。要はあれだ、お前にノートを貸してほしいってわけだ」
佳之は呆れたような顔をしてまた笑った。
「そう言われるだろうと思って、コピーしといてやったよ。ラーメン1杯で良いから」
「流石は佳之、気が利くな。ありがとう」
「おう、じゃあ気をつけてな。お忙しいところ呼び止めてすまんかったな」
「いやいや、全然構わんよ、俺が無事だったらまた会おう」
そう言って、正志は佳之と別れた。佳之は高校こそ違えど、大学に入ってすぐに仲良くなった友人の1人であり、正志は彼が真面目なのをいい事に、授業の事は全て佳之に任せ切りにしていた。佳之の方も、そんな正志に何かを感じたのか、進んで手伝ってやる場面も多かった。
大学を後にして、正志は自転車をこいだ。途中、何人かの自転車に乗った学生とすれ違った。午前中の講義が無かったか、寝坊して更に二度寝した連中だろう。ともあれ、来た時よりも重くなったかばんにいらいらしながら、コンビニを通り過ぎた。
家に着き、鞄を投げ捨てる。全てから解放されたような気がして、正志は布団に飛び込んだ。しばらくして、何気なく窓の外を見ると、小夜が、正志の住む建物を見上げていた。ふと目が合うと、小夜は何だか恥ずかしそうに頭を下げた。正志は起き上がった。

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