今日は、帰りも楽しかったし、凄く嬉しくなるような事実も知ることができたし、シャーペンも買えたし、電車もギリギリ間に合ったしで、幸せな一日でした。
こういう時は…!
暗い文章でも書いて気分を沈めてくれようと思います。
小説(おまけ):配達人C
――タケ、凄く言い難いんだけど……
――なんだよ。はっきり言った方が楽だろ?
――小田さんが、亡くなったらしいんだ。
――え……?
北田が皆を集める。いつも通りの風景。昨日、小田さんの葬式は行われた。
「皆、昨日はお疲れ様。俺達の発表は予定通り行われるらしい。タケ、その……、どうする?」
聞かれて俺は少し躊躇したが、とりあえず当たり障りのない答えを出す。
「え? ああ。俺は……、……折角練習してきたものを辞めたくはない。」
北田はゆっくり一つ頷くと、皆に呼び掛ける。
「そうか。それじゃあ、そのことはタケに任せる。皆、練習に戻って。」
その言葉で、皆は各々の場所に再び帰っていく。
「ごめん、ちょっと気分悪いから外の空気吸って来る。」
「ああ、分かった……」
俺は一人で部室の外に出て、誰もいない教室に入った。自分の席に座り、小田さんがいたはずの机を見る。夕焼けの匂いがした。思わず、鼻と目が繋がっている顔の深部が、何とも言えない感覚を覚える。二度と会えない、誰よりも好きだった人が、そこにいた。その事実、その記憶が、涙腺のコックを開いてしまったのかもしれない。
悔しかった。どうして皆何も無かった様な気持ちでいられるのか。俺は何もする気になれない程悲しい。苦しい。それなのに。人の命はこんなに軽いものなのか。人生は、こんなにもさっぱりとしたものなのか。
だが、同時にこうも考える。これが他の誰かだったら。俺はどうしていただろう。今感じているような辛さを、味わっていたのだろうか。そんなはずはない。その人を大切に想う誰かが、こんなに耐え切れない気持ちになっているというのに。それを気に留めることもなく、自分の目先にだけ気を取られていただろう。そう思うと、自分が嫌になる。自分がやる事なす事、全てが馬鹿らしく、どうでも良くなってくる。最悪だ。俺は最悪の人間だ。こんな屑みたいな奴に学園祭なんてやって楽しんむ資格なんか無いんじゃないのか。何もかも終わった。俺は、俺はこの現実をどうすることもできない……
机に顔を伏せる。誰もいないのに、涙を隠したくて。誰もいないのに。
不意に、何者かに肩を叩かれる。驚いたが、自分の体勢は崩さず、俺は尋ねた。
「どうした?」
未だ謎のその人物は、こう答える。
「どうしたはこっちの台詞だ。」
あまりに聞き覚えの無いその声に、俺は思わず飛び起きる。そこには、絶対に見たことがないのに、何故か見覚えがある、そんな一人の男が立っていた。

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