ほら、俺がこうして更新サボタージュしてる間にどんどんみんなから見離されてくんだぜ、このブログ。
停滞すみませんでした…。
勘弁してください。俺もダルいんです(最悪)
もうね、みんなが模試の勉強してても俺はあくまで今週のジャガーが面白くて仙台から東京に来るまでずっとニヤけて気持ち悪い奴みたいな感じにされたり、バクマンが面白いと思ってたりしますよ。
ほら、ダブルアーツもそろそろ終わっちゃうよ、きっと。ネウロも。誰か救ってください。ダブルアーツに読みきりISLANDが付いてて、しかも単行本のレベルが半端じゃなく高い。頑張って伸びて下さいますように。
小説:風薫る春C
俺がここに来て、もう一年が経つ。夏の暑さに耐えかねて、窓から風が逃げ込んでくる。一仕事終えて椅子に座り込み、うとうとしている俺にはそれが堪らなく心地よかった。吹き込んできた風が家の空気に馴染みきると、またじめじめとした暑さとセミの声が、心身を支配した。まるで目が覚めたまま眠っているみたいに、体が重く、立ち上がるのすら躊躇われた。
「ただいま!」
声が聞こえ、ふと気付く。どうやら俺は本当に寝てしまっていたらしい。すぐに飛び起きて夕食の支度にかかった。
「……悪い、寝ちゃってた。もうちょっと待ってて。」
笑顔で帰ってきた胡桃を見て、とても悪い事をした気分になった。
「ううん、良いよ全然! 手伝おうか?」
全く機嫌を損ねる素振りすら見せない事にありがたいと思いつつ、鍋の蓋に手をやる。昨日の味噌汁が良いにおいをさせている。
居間でテレビをつけ、胡桃が
「部活に嫌な後輩がいてね。凄く上手いんだけど全然言う事聞いてくれないんだよね。佳枝ちゃんたちはもう諦めてるみたいだけど、嫌がらせしてやろうって言ってる人もいて、今大変なんだよ。」
と言って、深い溜め息をこぼした。俺は鍋を火にかけ、居間に行った。そして、普段通りの表情で話しかける。
「で、胡桃はどうしたいと思ってるの?」
胡桃は少し眉間にしわをよせて小さく唸って考えた。
「うーん、やっぱり良くないよね。でもその子もあんまり好きになれないけど……。」
「じゃあさ、その子は先輩に腹立つ事をされて落ち込んだり、言う事聞いてくれるようになると思う?」
「えー、それは無いと思う。多分もっと反発しちゃうんじゃないかな。」
俺は自分の少ない経験を駆使して考えた。
「そっか。それならさ、やっぱり嫌な事するのは止めとけよ。」
「でも、じゃあどうしたらいいのかな。あのままじゃみんなの気持ちも治まらないよ。」
「あのさ、人って嫌な事言われたりされたりして気分良くなるわけ無いのに、どうしてしちゃうんだろうな。」
胡桃は、少しだけ言いにくそうな顔をしたが、答えた。
「それは、相手に嫌な事した時に自分の気分が良くなるから、だよね。」
「そうだよな。その子上手いんだろ? なら尚更その気持ちはよく分かるよな。このままこの部活にいても下手な人達のせいでろくな結果も残せない。それなら先輩達に嫌味でも言ってた方が楽しいもんな。」
「でも、それっておかしいよね。後輩が先輩に嫌味言ったりするなんて。」
「だけど、それに乗っかっちゃったら、反発されるどころか面白がられるだけじゃないかな。俺、思うんだけどさ。その子に嫌な事をし返して、自分がこんなに嫌なんですよ、って伝えるのは無理だよ、きっと。それより、こんな事されたら嬉しいんだよ、っていうのをそっと伝えてあげた方がずっと良いと思う。正しい答えなんて無いからちゃんとは言えないけどさ。でも露骨にやっちゃ駄目だ。本当に自然に。相手がちょっと嬉しいなって思うような事。」
当然、本当は後輩が考えなければならない事だが、それをただ待ち続けるのは無意味だろう。どっちにだって言い分はあるはずだ。どっちかが気付かないと、こういう喧嘩はどうしようもない。
「例えば、嫌な顔をしない、っていう事かな。胡桃もその子のことはあんまり好きじゃないんだろ? じゃあ、きっと無意識に他の人と違う態度で接しちゃってるよな。そこをどうにか、みんなと同じように接してあげたらどうかな。意外とその喧嘩の一番最初は、自分より上手い後輩に対する先輩の表情だったりするかもしれないよ。」
胡桃はたまに頷きながら聞いていたが、目を閉じてソファーに横になった。そして、
「そうだよね。周りが嫌な顔する人ばっかりじゃ反抗したくもなるよね……。今まで辞めないでいてくれただけでも良かったのかも。私、明日みんなに言ってみるね。ありがとう。」
と、優しい声で言った。俺は、その声に少し表情がほころぶのを感じた。
「ああ、でも俺の言ってる事が全部じゃないから、みんなの話も聞けよ。」
そう言った時には、胡桃は小さく寝息を立てて眠っていた。台所では鍋がグツグツと音を立て、味噌汁の良い香りが部屋中に漂っていた。

0