ボストンに引っ越してからNE水族館でボラを始めるまでの1ヶ月間は、メンバーになって、せっせと水族館に通っていました。
多くの日本の水族館にある制度と同じで、2〜3回分の入場料程の料金を払ってメンバーカードをもらい、以降1年、水族館の出入りが自由なうえに、特別招待やニュースレター、売店の割引などのメンバー特典がついてくるものです。
(ちなみに、ボランティアを始めるまでに、十分元は取りました。)
メンバー会報誌「Aqualog」は、水族館の行事や展示のこと動物のこと、楽しい情報がいっぱい
メンバーには何種類もあって、私のは個人メンバーで、他に2人用や家族用などですが、中でも、日本ではちょっと考えられないのが、高額のメンバーシップの存在です。
70ドル〜250ドルで家族4人+ゲスト(数が増えていきます)が無料で、最高値の”ナビゲータ”と呼ばれるメンバーの場合、会費は1250ドル〜です。
ナビゲータには、ジャイアント・オーシャン・タンクでダイビングとかホエールウォッチングのパスとか、館長と食事などの特典が段階的に増えていき、最高額は1万ドルにもなります。
税金対策もあるんでしょうが、それにしても大した気前ですよね。
でも、実際にこういう種類のメンバーになる人は結構います。
今手元に当時のナビゲータの名前が乗ったパンフレットがありますが、それにはざっと数えて160人以上。
ある日、ホエールウォッチングで、「今日はナビゲータ貸し切り」と言う日がありました。
乗ってきたのは、大人から子供まで年齢は様々ですが、身なりのいい、いかにも上流階級の人々。
いつもなら「何時の方向にクジラ!」と放送があると、それっとばかりにお客さん全員(+ボランティア)がそちらに向かうのですが、その日は様子が違いました。
悠長なんです。
クジラを見る人ももちろんいますが、他のメンバーとビュッフェで歓談してる人あり、景色を楽しんでいる人あり・・・様々です。
お行儀もよくて、お酒や食事や会話を楽しまれたこの日の下船後の掃除では、全くちらかってなくて、仲間のボランティアと二人で、「お金持ちって違うねえ」と感心しきりでした。
この人たちは、私のように”元が取れる”という思いで水族館のメンバーになったのではなく、損得無しで「水族館をサポートしよう」という気持ちでメンバーになっているんですね。
しかもおそらく出資額は、最少額の1250ドルではなく、それ相当のお金(寄付)を出しているようです。
アメリカのお金持ちって日本とは桁が違うとは聞いていましたが、気持ちも豊かなんだなあと、しみじみ感じ入りました。
もちろん、個人メンバーとして水族館を見守ることだって、セミ鯨のために子供たちが学校で集めて送ってくれたお小遣いだって、このような大金だって、サポートには違いありません。
それぞれが、ぞれぞれのできるだけのサポート、水族館を応援しようとしている気持ちの表れなんですよね。
水族館をサポートしているのは、地域のいろいろな人たちです。
真面目に活動をしているところを、ちゃんと見ていて認めてくれて、それに応じたサポートをしてくれる、逆に言うと、間違えないように厳しい目で見られる、いいほうにも悪いほうにもサポートされているって、いいことです。
努力の認められる社会は精神的に豊かですよね。