ニューイングランド沖ではロブスター漁が盛んで、ボストンでも、湾内を出てすぐの辺りから、漁船や仕掛けた罠が沈んでいる目印の旗を見かけることがあります。
この辺りのロブスターは、シーフードレストランでは「メーンロブスター」と呼ばれています。
(ほんとのメーン州は、ボストンのあるマサチューセッツ州の北隣です。)
前に、エドジャートン研究室で研究のために飼われている子どものロブスターが、赤ではなく目を見張るような青だと書きましたが、これはもちろん一般公開はされていません。
でも、展示用にロブスターを飼育しているコールドマリンギャラリーにもいます、赤黒いフツーのロブスターに混じって、オレンジや青のやつが。
こちらはもちろん水族館のエサのおかげでこんな色になったわけではなく、自然の変異です。
ただし茹でると皆、赤。
(私が茹でて確かめたわけじゃありませんよ!あしからず。)
他に、1匹で水槽を占領している、ばかでかいロブスターもいます。
ロブスターは、子どものときはしょっちゅう、大人になったからは年に一度くらいの割合で脱皮し、その都度大きくなるので、生きてさえいれば、極端な話、怪獣のような大きさになることだって可能です。
コールドマリンで飼っている巨大ロブスターは、推定年齢50歳〜200歳です。
体重は13kg、体についた苔をきれいにするために水槽から引き上げることがあるのですが、そのときは飼育員が二人がかりで声を掛け合いながら持ち上げます。
声かけは、ロブスターが重いからでもありますが、もちろん、ロブスターの巨大なはさみに捕まれないようにという事もあります。
研究室のお母さんロブスターやシーフードレストランだったら、はさみに輪ゴムをはめる事もできるでしょうが、そうも行きませんからね。
もし思いっきり挟まれたら、指の数本はなくなります。
そしてざっと体を拭いて、元に戻します。
この間、ボランティアはじっと見ているだけ。
水槽管理の責任の重さは、飼育員>ボランティアです。
だから私は気楽なのですが、マイクと、手伝いに来たトロピカルギャラリーのスティーブが真剣にやっているそばでは、さすがにいつものように横で口出しして、からかうわけにはいきませんでした。
コールドマリンには、実はもう一匹、おかしなロブスターがいました。
そのロブスターは、その頃、漁師さんから持ち込まれたもので、一般には公開していませんでしたが、片方の腕に、枝分かれした腕があり、さらにその腕が枝分かれしているというものでした。
研究室でボストン湾の汚染を調査しているマリアンは、マスコミの取材に、「これが汚染によるものなのかは分かりません」と答えてましたが、私たちの当面の関心は、このロブスターが、どう脱皮するのか?ということでした。
(非常な関心事であるにも関わらず、事の顛末は忘れてしまいました。)
ちなみに、上記は全て、はさみのでっかい和名”オマールエビ”のことですが、アメリカでは、オマールエビはアメリカンロブスター、伊勢エビはスパイニーロブスター、セミエビはスリッパロブスターと、どれもみな、ロブスターと呼ばれています。