タイドプール入り口にあるタツノオトシゴの水槽
飼育補助のボラをやっていた時、ひとりだけ、女性の飼育員がいました。
タイドプール(タッチングプール)担当の、バーバラでした。
飼育員というと、エサやりや動物たちの健康管理の他にも、大きな水槽にもぐって掃除をしたり、バケツで水槽の砂をくみ出しては洗って戻してを何度も繰り返したり(腰痛!)、海棲生物を運んだり、力仕事が結構あります。
タイドプールでは飼っている動物こそ小さいですけど、それでも、かなりの労働だということは容易に想像がつきます。
でもバーバラは、私より背も低く体も細く(たぶん、日本人女性の平均よりも小さいです)、そのどこにそんなに体力があるのだろうと思うような女性です。
一度おやつを食べてる姿を見かけたときも、いかにもお上品に、グレープフルーツをむいていて、やっぱりねーと思ったことがあります。
ホエールウォッチングのボラの講習会のとき、船上でヒトデやカニなどの動物の扱うので、皆で、彼女の話を聞く時間がありました。
まずはじめに「私、声が小さいので、聞こえなかったら言ってね」と、バーバラ。
う〜ん、やっぱり上品だなあ。
そんな彼女ですが、内面の強さと頭の良さは、たった一人大の男の居並ぶ(でもないか・・)飼育員の中で働いているだけあって、ピカイチ。
バーバラが2〜3人入るような大きなコンテナも、台車を使ってうまく運んじゃいます。
ずっと水族館で動物に接しながら働いていたい私には、彼女はヒーロー(いや、ヒロイン)だったんです。
講習会のあと、バーバラを追って、話をしました。
「どうやって飼育員になったの?」
「なりたかったとき、飼育員の空きはなかったのよ。だから、私、計ったの」
「どうやって?」
「まずは空きのある売店の職員に応募したのよ。そこで飼育員の空きをまったの。」
そうかー!
自分の目的のために一直線にすすんできたんだなあ。
まず売店で働いていれば、まったくの新人より働きぶりも分かって、飼育員として採用される可能性も高くなるだろうし!
彼女はやっぱり私のヒーローだ!
今年のニューイングランド水族館再訪のときには会えませんでしたが、バーバラは今は、飼育課長の秘書をやっています。
同じ飼育員のスティーブと結婚したため、夫婦では同じ業務につけないためです。
それでもちゃんと、飼育課長の秘書としてのポジションを得るあたり、やはり彼女の優秀さが認められている証拠!
短期間でやめたり解雇になる人間が多い中、信念をもって働いてるってのは、どこの国でも強みなのでしょうね。