北大西洋のセミ鯨については書いて来ましたが(というほど更新してませんが!!)、今回のは、北太平洋の話です。
最近、アメリカ海洋大気局の漁業部(NOAA Fisheries)から、「北太平洋セミ鯨のリカバリー計画草案(Draft Recovery Plan for the North Pacific Right Whale)」(訳がまずいといけないので、英語も書いときます)が出たことを知り、え、太平洋のセミ鯨?と、興味津々、早速、読んでみました。
この北太平洋のセミ鯨、学名をEubalaena japonicaといいます。
まさに、日本と関係有りそうじゃないですか。
内容を、ちょっとご紹介します。
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北半球のセミ鯨は、2008年に、合衆国海洋漁業部(NMFS)によって、2つの絶滅に瀕したグループ、北大西洋セミ鯨(E.glacialis)と北太平洋セミ鯨(E.japonica)に分類されていて、さらに草案では、北太平洋セミ鯨群を、東部群(eastern population)と西部群(western population)に分けています。
東部群は、合衆国の排他的経済海域に生息し、ベーリング海やアラスカ湾から西海岸やバハカルフォルニアに回遊するもので、生息数はやく30頭。
西部群は、ロシア、日本、中国の排他的経済海域に生息し、オホーツク海から中国、ベトナム沿岸に回遊するもので、生息数は約900頭。
どちらにしろ、生息数が少なく、観察数も少ないので、生息範囲や利用状況(ここは餌場とか、繁殖海域とか)、分布とかがわかっていないため、まずは十分なデータの収集から始めるようです。
北太平洋セミ鯨を脅かしているのは、環境汚染、船舶との衝突、人間の起こす音などで、特に東部群にとって、1頭でもなくすことがあれば、生物学的な絶滅の危機が高まります。
最終的な目的は、絶滅危惧種法の絶滅危機リストから外すことですが、そうなるためにかかる時間、費用は、生息数が少なすぎるために予測不可能なので、まずは、少なくとも50年はかかるとして、1718万3000ドル(日本円で15億円くらいでしょうか)のコストがかかると算定しています。
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西部群については、もう10年以上前でしたが、北海道新聞に「オホーツクでセミ鯨が観察された」という記事が載ったことがあります。
その時、セミ鯨いたのか!と驚いたんですが、実際は、900頭くらいいるんですね。
日本では鯨というと、ホエールウォッチングのザトウクジラやニタリクジラ、ミンククジラ、マッコウクジラなどと、調査捕鯨や沿岸捕鯨で捕獲するミンクやツチクジラなんかは時々話題になりますが、セミ鯨の話はあまり聞いたことがなかったので、新鮮でした。
まだ900頭いるなら、北大西洋セミ鯨よりは状態がいいはず。
日本では調査はされているのでしょうかね。