そして現状について北太平洋セミ鯨の生態についての新しい情報
ほとんどない。
●1960年台のソビエトの捕鯨記録による体調や性的成熟に関するデータ。
2012年の24頭の北太平洋セミ鯨についての遺伝子サンプルでは、遺伝子の多様性が小さく、東群は依然、かなり絶滅の危機に瀕していて、繁殖に関われるセミ鯨の数は、11.6頭とされています。
●セミ鯨は歴史的に見て、生息域の変化に適応するのにかなり時間がかかると見られている。成熟した時の体長は45〜55フィート(1ft=0.3m)で、メスはオスより大きい。最大体長は過去にソビエトがアラスカ湾で捕獲した19.8mだった。
大きな頭に背びれはなく、ほとんど黒で、カロシティが頭部に広くついている。尾のきれ込が深い。
●北半球ではセミ鯨はコペポーダを餌としており、スキムフィーディングの採餌方法では、高密度の餌が必要。2004〜2006年に3年連続してセミ鯨が観察された(アルバトロス堆のバーナバストラフとアラスカのコディアック諸島南)が、いずれも、175mまでの深さで、高密度の動物プランクトンが観察されている。
他にも、2012年〜2017年に8つの論文で音響装置(水中マイクロフォン?)により、2016年の論文で東岸で、2014年と2015年の論文で西岸のセミ鯨の存在が確認されている。
その他に、IWCのPOWERベーリング海調査航海(論文はまだ)や、コディアックやカリフォルニアで、民間人による観察。
●生息数は、1000頭以下思われ、依然、もっとも絶滅にひんしている鯨種である。東群の生息域では、かなりの調査を行っているが、観察されることはあまりなく、地理的に散らばっていて、依然として不確かでデータ不足だ。過去10年間、たった一頭のセミ鯨の観察で論文9つが出ていることからも、観察例が非常に少ないことが伺える。
●1964年以降について、生息数が少なく、観察例が少ないので、生息数を推定することが難しい。
東群については、どの観察例でも観察数が少ないので生息数はとても少ないと推測される。ベーリング海とアリューシャン列島での、標識調査では、この海域の生息数は28〜31頭と推測された。
しかし西群は、特に、オホーツク海やクリル諸島近海で、もっと規則的に見られる。セミ鯨の生息域を部分的に含むミンク鯨の海域調査で、西群は900頭と推測されたが、信頼区間(95%の信頼区間を算出するために、例えば100回の実験を行ってそのうちの95回はその範囲内に入るというもの・・だそうです。にわか知識で恐縮!)が大きすぎる(404〜2108頭)し、観察できる確率が低い場合生息数はもっと少ないのが一般的と指摘されています。
(ちなみに、東群数の推測は、信頼区間23〜54頭のもので、別の、24〜42頭の信頼区間では、生息推測数28頭)
●生息数が少ないため、繁殖率や年齢構成、オスメスの比率、はほとんど分かってない。
過去数十年に、東岸で子クジラの観察例はほとんどない。ソビエトの捕鯨中止後に生まれたと思われる青年鯨の観察や、IWCのPOWER航海調査で子鯨が観察されているが、雌対雄の比率は、2002年の論文で1:9(ベーリング海)、2004年に7:16、2011年に2:5と、メスの数が少ないことも繁殖の可能性を低くしている。
●出産間隔や初産年齢は、大西洋セミ鯨の南北比較では母鯨の体力によって決まるので、太平洋のセミ鯨の場合も同じと考えられる。
●死亡率についても、データが少なく新たな情報は殆ど無い。
北大西洋セミ鯨の場合、人間活動によるものを除くと、当年生まれの子鯨で17%、未成熟鯨で3%。人間活動を含むと、未成熟鯨の死亡率は27%だ。
船舶との衝突や漁網被害などの人間活動は、北大西洋ほど頻繁ではないと考えられるが、生息数が少ないので、他の鯨種よりも大きな影響を受ける可能性がある。
●遺伝子の多様性の減少については、北大西洋のセミ鯨に比べると減少はずっと少ないが、過去に比べると減少している。
●遺伝子情報により3種(セミ鯨=太平洋セミ鯨、大西洋セミ鯨、ミナミセミ鯨)に分類されて以降、分類学的分類や学名の変更は、ない。
●分布については、かつては、太平洋全域(中央は少ない)に生息していたと思われる。
●東群の現在の分布について、よく観察される海域は、アラスカ湾西部とベーリング海南東部だが、どの海域がすでに見捨てられているのか、どこを現在のセミ鯨群が利用しているのかは、観察数が少なすぎて明らかになっていない。
●西群については、カムチャッカ半島の南東、クリル諸島東、オホーツク海、コマンダー諸島、知床半島沖、韓国、噴火湾、中国で観察されている。
●回遊については西群、東群ともに殆どわかっていないし、新情報もない。
●子育て海域は観察数も少なく、捕鯨時代にも記録がないので、依然不明。
しかし、その可能性のある場所としては、水深、温度、波の荒さから、南カリフォルニア、ハワイ諸島、中国南岸、ベトナム北岸があげられる。
●採餌海域については、過去の群れの集まりから見て、オホーツク海、カムチャッカ沿岸、クリル諸島、アラスカ湾が、東群の夏季の重要採餌海域だ。
音響調査に寄ると、鯨は、真冬には数がずっと少なくはなるが、年中ベーリング海にとどまっているようだ。ウニマック海峡で冬季にクジラの声が聞えるのは、ここを通って回遊へと向かうのかもしれない。
●秋季、春季は、日本海から東部ベーリング海まで、鯨が最も広く散らばっている。
●冬季には、琉球諸島、小笠諸島、黄海、日本海、本州、ワシントン、カリフォルニア、バハカリフォルニア、メキシコで観察されているが、現在それがどう変わっているかは不明。
●2006年、NMFSは、アラスカ湾とベーリング海を太平洋セミ鯨の重要採餌海域に指定した。過去に比べてクジラの数はかなり減少はしているが、いぜねん、重要海域である。
●鯨は動物プランクトンの豊富な海域を好むので、海流や生産性、餌の植物網を支配する年単位の経過や海盆スケールの変動に基づいてその行動を変化させると思われる。
おそらくよりコペポーダが豊富で、他のコペポーダを餌とする種との競争をさけるために、冬季、鯨は、コールドプール(海水の沈み込み)にとどまっていると思われる。