2007/10/29

ワークショップ最終日  教育
ワークショップも最終日。クラスター解析の後,いよいよジャパー博士による海草の講義です。ここ数年,海草の分類学で興味深い論文が出ています。講義は,海草の分類形質に関する話と,最新の論文に関するレビューで構成されており,興味深い内容でした。

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スラベシ島のウミヒルモ属固有種は再検討が必要だと思いました。花のでき方と雌雄性が系統を反映しているかがポイントのように思います。

夜は盛大な(アルコール抜きの)パーティがホテルでありました。ダンスとカラオケは東南アジアでは必須ですね。学生による伝統的な舞踊のショーも見事でした。

ワークショップをとおして,多くの若手研究者(私も若手ですが)と出会えたことが一番の収穫です。毎年一回東南アジアを巡回していた若手教育のためのワークショップも今回で一段落です。このプロジェクト自体は続きますが,ここで育った若手研究者による「研究主体の」ワークショップに模様替えする予定です。

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2007/10/28

ライントランセクト調査  教育
一泊二日でBintulu郊外の国立公園に行き、ライントランセクト調査の実習と海藻採集をしました。
(注:許可をとって実施しています。採集品の国外持ち出しもすべて許可証が必要です)

背後に広大な熱帯雨林を抱えていることもあり、海岸から沖合1kmくらいは濁りがひどいですね。汽水性のワニもいるので、潜れませんでした。潮間帯は・・・あまり多様性が高いとは言えませんが、実習するにはよい場所です。

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日本で見たらヒジキと言ってしまいそうな形です。東南アジアではこれに該当する種を見たことがありません。他には、HydropuntiaとGracilaria、Laurenciaが数種採れました。

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濁りの海・・・明らかに濁度による光量減衰が海藻垂直分布の制限要因になりそうです。私の知る東南アジアの調査地は、陸水の影響で常に濁っている場所が多いですね。沖合の島嶼域に行くと、サンゴ礁が見られますが。

前夜のパーティ疲れもあり、マングローブをかき分けてのサンプリングにバテバテになりました。しかし、午後には大学に戻り、参加者の皆さんはクラスター解析までしてました。すごい体力!
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2007/10/27

Workshop2-4日目  教育
初日は夜にパーティだけだったので、二日目からいよいよWorkshop開始です。
今回のWSは多少講義の多いプログラムで、緑藻、褐藻、紅藻と展開し、生態調査手法の話に続きます。

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それでも標本を囲んでこんな感じに議論が進みます。よくある「日本の研究者が東南アジアの受講生に知識と技術を教える」スタイルではなく、「日本と東南アジアの研究者が参加者に混じって議論を展開する(あるいは教える)」方式です。講師陣は日本人だけではありません。東南アジアで藻類研究を先導する各国の研究者が若い世代に知識と技術を伝えています。
フィリピンのフォルテス博士が参加者とディスカッション中です。

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O川先生が「神業」のハンドセクションを披露しています。これ、日本人の学生には「千切りしろ」でそこそこの切片をつくってくれますが、野菜の千切り文化のない東南アジアではなかなか難しいテクニックのようです。

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時間の合間に記念写真。

A坂先生はホンダワラ属藻類の分類を講義・実習されました。ホンダワラ属藻類は形態が複雑で分類形質も多いのが難ですが、先生は1個体ごとにすべての形質をチェックする「カード・システム」で整理され、膨大なサンプル数から形態変異等を把握されています。勉強になりました。

三日目
三日目の午後から私のセッションになりました。翌日にかけて、紅藻類全般の体系の総論と、各論としてオゴノリ科、ムカデノリ科、フジマツモ科ソゾ属の分類に関する講義と観察をおこないました。

当初は参加者の藻類に関する知識のレベルがわからず多少困惑しましたが、なんとか終わりました。オゴノリ以外の分類群の話をする機会はこれまであまりありませんでしたが、紅藻で最も分類の難しい3つのグループを比較することもできましたし、自分にとってもよい機会でした。(Q大のK口先生とH大博物館のA部先生には、様々なご助言を事前にいただきました。また、標本も借用させていただきました。ありがとうございました。)

四日目午後
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フォルテス博士が被度の測定法に関して講義をされています。Saito and Atobeの世界的に有名な論文を紹介されていますが、このSaito先生は私の出身研究室の恩師であり、この方法は学生実習でよく覚えています・・・・懐かしい。ただ、(時間的な制約等で)潮間帯中心の方法なので、汎用性の点で難です。

このあと、H崎先生によるRの使用法に関する講習もありました。RはDOSチックなソフトなのでWindowsしか知らない日本人の学生には取っつきにくいかもしれませんが、フリーソフトなので東南アジアでは広く受け入れられています。先生の流ちょうな英語によるご説明で、よく理解することができました。

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2007/10/24

マレーシア・ボルネオ島での海藻海草ワークショップ  教育
23日より、マレーシアに来ています。数年ぶりのマレーシア。シンガポールと並んできれいな国ですね。

日本G術振興会によるT京大学K洋研究所の拠点大学事業では、東南アジア沿岸域の海洋学に関する様々な分野の研究交流・教育のプログラムが展開されています。生物多様性グループの中の一部門である海藻海草チームでは年に一度、海藻海草の分類学と生態学に関するワークショップを東南アジアで開催してきました。これまでに、タイ、フィリピン、ベトナム、インドネシアと各国を巡回し、今年はマレーシア・ボルネオ島Bintulu市にあるPutra Malaysia大学Bintulu校での開催です。私はハワイ大にいた前後をお休みしましたが、私の専門がプログラムの趣旨に一致する回に参加してきました。

フィリピンのフォルテス博士、タイのアンチャナ博士、マレーシアのジャパー博士、日本のO川先生(K里大学)、A坂先生(K都大学)、H崎(K里大学)と私が参加しました。他に、マレーシアの大学や水産試験研究機関の研究者、大学院生など20名弱が参加しています。

これから、海藻類の分類(特に分類の難しい東南アジアの褐藻ホンダワラ科、紅藻オゴノリ科など)やライントランセクト法を用いた生態調査、生育状況のクラスター解析など、様々な内容の講義やディスカッション、標本観察、試行調査がおこなわれます。

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会場入口に貼られた垂れ幕

鹿大水産学部の学部生の皆さんはワークショップという言葉になじみがないかもしれません。通常の講義や実習と異なり、フリートークやディスカッション、共同作業(この場合は、一緒に標本を観察したり、現地調査をおこなう)を通じて設定課題に関する認識を深めるプログラムです。私自身は大学院生時代、別の国際ワークショップに参加しており、現在の自分につながる貴重な経験になっています。

これから、「インターナショナルトレーニングプログラム(ITP)」という別のプロジェクトが鹿大大学院理工学研究科や連合農学研究科のメンバー(私もメンバー)で始まります。マレーシアや周辺国の大学での交流や研究を希望する院生にとってはめったにないチャンスです。東南アジアの海藻・海草の分類学、生態学に興味のある人は海藻研で一緒に頑張ってみませんか?他大学の学生でも、修士課程と博士課程(連合農学研究科)の試験をこれから受験可能ですので、興味のある人は是非どうぞ。
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2007/10/19

複合養殖検討会  会議
水産庁が県の水産試験場に委託する研究に,「複合養殖実証試験(正式名称は忘れました)」というものがあります。要は,魚介類の海面養殖に海藻類の養殖を加え,海域の栄養塩負荷を削減させるというものです。

私がこの研究をしている訳ではありませんが,検討委員として年二回の会議に参加しています。今回は,大分県佐伯市上浦にある大分県水産試験場に18-19日の予定で行ってきました。海藻の研究者としては,私の他にT北大学のT口先生が委員をされています。

鹿児島から佐伯の道のりは遠いですね。JRで宮崎を経由し,最短4時間台です(車はもっとかかる)。国鉄時代の車両である485系の特急に久しぶりに乗りました。

19日は列車を乗り継ぎし,午後2時半からの講義に間に合うように帰ってきました。
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2007/10/16

串木野羽島ライントランセクト調査  調査
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ライントランセクト調査は海藻の垂直分布構造を調べる調査なので,通常は繁茂期に実施します。今回は例外で消失期の状況を調べることになり,串木野の羽島に行きました。県水産技術開発センターとの共同調査です。水技センターのT原さんはベントスの生息数を調べています。

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春の調査でキレバモクがあった場所には,極々小さな芽が出ていました。

水温は26℃くらいでしょうか。日差しもおだやかで,10月とは思えません。N島君,U治君,水技センターの皆様,お疲れ様でした。

串木野と言えば,(県内では有名な)まぐろラーメンですが,帰りに「Mその」で味わって帰りました。私は普通のラーメンにしましたが。
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2007/10/15

「鹿児島湾の自然史」展が始まりました  教育
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鹿児島大学総合研究博物館の特別展「鹿児島湾の自然史」が本日より始まりました。海藻研では,「鹿児島湾の海の森」,「鹿児島湾の海藻あれこれ」,「鹿児島湾の藻場と生き物たち」という展示を担当しています。入り口入ってすぐの場所にパネル3枚と標本,葉上動物サンプルを展示しました。

海藻の基本的な話から,特筆すべき種,藻場生態系の話に展開しています。特に,日本産ヌメリグサに対して故・糸野先生が用意されていた学名(急逝されたため,いまだ記載されず)を特筆すべき種で紹介しています。タイプ標本にする予定だった標本を標本庫で昨年再発見し,展示に至りました。

特別展全体としては,プランクトンやベントス,魚類,サンゴ等,充実した展示になっています。かごしま水族館の協力で,生きている生物の展示もあります。鹿児島の方で興味のある方は,是非お越し下さい。鹿児島大学郡元(こおりもと)キャンパスにある総合教育研究棟プレゼンテーションホールで開催しています(土日もOPEN)。
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2007/10/11

ヨツデクロガシラ  研究室
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ヨツデクロガシラは胚芽枝の腕が二股分岐を二回して四本に見えますが,鹿児島以南で見ているものは,二股のみのものが多いようです。これは,嘉村(1963)のワイジガタクロガシラ(ヨツデクロガシラの異名)に該当します。観察していてやっかいなのが,同じヤツマタモクの気胞でも,複数のクロガシラ属藻類が着生していることですね。

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2007/10/9

博物館特別展の設営  教育
鹿児島大学は大学博物館が設置されている数少ない国立大学のひとつです。この鹿大総合研究博物館の特別展「鹿児島湾の自然史」が来週から開催されます。そのための設営作業が午前中に行われました。汗まみれになりましたが,博物館のM村准教授(魚類系統学)のイメージどおりの設営ができたようです。どうもお疲れ様でした。

多くの大学博物館がそうですが,鹿児島大学総合研究博物館には特別展の恒久的な施設がありません。北大総合博物館のように,既存の建物を再利用するような施設利用(特に標本庫,資料収蔵施設)ができることを願っています。
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2007/10/8

祝日の講義  教育
今日は祝日ですが,鹿児島大学では月曜日の開講回数を確保するために通常開講日です。というわけで,1限の藻類学を普通に講義してきました。ほとんど欠席はなかったですね。

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