2004/9/3
ここは「日記」についての「日記」の場所であると書いたが、これはもちろん他人の日記を日々観察して報告するという意味ではないし、ウェブ「日記」一般について考現学的な観察や社会学的な考察を行うつもりもない。抽象的な言い方になってしまうが、ウェブ日記という営みを通じて「書くこと」の意味を問うていくことが主題である。
あまり、ピンとこないのだが、今ウェブ日記がブームなのだそうだ。
それは、このAutoPageのようなブログ・サービスが去年あたりから一般的になってきたことによるのだろうが、ある研究者のレポートによれば、ブログが世界的に普及するきかっけをつくったのがもうすぐ三回忌を迎えるアメリカの9.11同時多発テロであるという。当時マスコミの報道に飽き足りない人々が個々のネットワークを通じてN.Y.の現地情報や事件に関する情報を連鎖的に伝えるためのツールとして、トラックバック機能を持ったブログがさかんに用いられたとのことである。
トラックバック機能については、あまりよくわからないが、結局は参照した相手に自分のアドレスを送り、参照しましたよと通知するとともに相手にもこちらの書き込みを見てもらうというようなことであろう。このAutoPage内にも、勇気のない人のためにと「トラックバックを練習する所」があるが、トラックバックする勇気の有る無しは、結局、自分の情報力なりメッセージ力に対する自信によるところが大きいのではないだろうか。要は参照先の相手に参照されても恥ずかしくない情報力が自分のブログに備わっているかどうかであって、こちらが未熟だと思えばどうしても遠慮してしまう。例えば、この書き込みを先のリンクを貼った参照元の研究者のブログにトラバるかというと、「こんな文章、相手にとっては何の参考にもならないだろうし、迷惑になるだけだから止しておこうか」というのがとどのつまりではないだろうか。これはやはり、積極的な情報交流を求めているアグレッシブな情報強者のための、または情報強者予備軍のためのツールなのだと感じるがどうか。もっとも、ブログのことはまだよくわかっていないので勘ちがいがあるかもしれない。
これに関連する話として、最近の朝日新聞の特集記事かなんかによるとブログを実名で公開する人が増えているそうである。ウェブ日記の匿名性と実名性についてはまた別に考察する必要も感じるが、企業が就職活動している学生の資質を判断する材料として当人の実名ブログを参考にする動きがあるなどという記事を読むと、就職活動とは無関係の私でさえ、なんとなく息苦しくもなってくる。

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