2006/2/19
『blue』で主人公とクラスメイトが仲良くなるきっかけとなったもの、それは、セザンヌの静物画でした。
初めて訪れたクラスメイトの部屋にはたくさんのCDや画集があって、その中のセザンヌの画集が彼女の眼に留まります。彼女はそれを借りて帰り、その夜、画集の中の静物画に見入ります。そしてある日、彼女はクラスメイトに「セザンヌの絵が好き、山の絵よりも果物の絵が好き」といえば、友人のほうも「ああ、静物画のほうね。わたしもそう。あなたがそういってくれるとわたしも嬉しいな」という言葉で応えます。このあたりの彼女たちのやりとりが結構よく、二人の関係が友人からそれ以上のものへと変わっていく雰囲気がうまく伝わってくるのでした。
「静物」。still lifeあるいは「死せる自然」nature morte。静物に見入ることは、その静物に魅入られることでもあるでしょう。

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