2006/3/26
1980年代の後半、英国北部のカンブリアから彗星のごとく現われ出て、3年の間に完成度の高い3枚のスタジオアルバムをリリースし、1枚のライヴアルバムを置き土産にさっさと解散してしまった最後のブリティッシュ・ロック・アイドル・グループ(あくまで僕にとってのですけど)、IT BITES。
ギタリストとしてもヴォーカリストとしてもコンポーザーとしても個性と才能の塊のフランシス・ダナリー/Francis Dunneryと、楽曲とビジュアルの両面で知的洗練さと艶やかさを発散するキーボード&ヴォーカルのジョン・ベック/John Beckを中心に、ツェッペリンを筆頭とするハードロックのスリリングさとイエスやジェネシスのようなプログレ的音像構築美、そしてクイーンのような華やかなコーラスワークとルックス面でのアイドル性を併せ持ちながら、見栄え・聴き栄えするロックが展開される、本当に稀有なグループでした。それも早々に解散してしまって、それ以後の展開が不本意だっただけに、先頃の彼らのアルバムの紙ジャケ復刻は本当にお久しぶりだったわけで、嬉しい出来事でした。
そして、紙ジャケ復刻に続き、どういった展開か1989年の来日ライブ映像“LIVE IN TOKYO”がDVDで公式発売された。若かりし頃の動くフランシス・ダナリーが見れるということで、これは買うっきゃないわけです。

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2006/3/19
土曜も仕事でした。帰ってきて風呂に入ってごはんを食べた後、今夜は珍しく先ほどまで長時間テレビの前にしがみついていました。偶然見つけたNHK教育の木村伊兵衛の特集、久しぶりにテレビの画面に引き込まれました。今回の目玉は木村伊兵衛のベタ焼きのスナップを連続的にスライドで映し出していたことでしょうか。写真家と対象の間合いの取り方、距離の縮め方が何となくわかるものです。木村はそんなふうに居合抜きと称して活写していたのだと。
それにしても、昭和30年代くらいの秋田大曲の湯治場だとか、那覇の市場だとか、東京の浅草神谷バーの電気ブランとか、本郷森川町の交番とかすごい風景です。数寄屋橋から見た森永キャラメル、アドバルーンなんてどうしてそんなに高いのかと思うくらい高かったし、小津の映画にも出ていたオバケ煙突も高かった。そして何より子どもが元気で外を走り回っていたりして、やはり『三丁目の夕陽』は見ておいたほうがよいかな、なんて思ってしまう自分がいたのでした。
そして話は川内倫子の『blue』に飛びます。彼女も木村伊兵衛賞でしたっけ。

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2006/3/11
こんなことは本当に久しぶりだったが、睡眠時間が計2時間という二日間を含む慢性睡眠不足の一週間が過ぎて、昨夜はたっぷり寝たのだけれど、目覚めた後も後頭部にしこりのあるような重みを抱えたまま朝を迎える。気付薬の音楽は、先頃紙ジャケで復刻されたジェネシスの元ギタリスト、スティーヴ・ハケット/Steve Hackettの“Spectral Mornings”。こちらの状況は「虹色の朝」とは程遠いけれど、サステーンの効いた突き抜けるようなギターが脳を刺激してくれる。この週末は、スティーヴ・ハケットのギターと、同じく紙ジャケで復刻されたIT BITESのフランシス・ダナリー/Francis Dunneryのギター&ヴォーカルが僕を癒してくれるだろう。
昨日届いた郵便物を確認すると、筑摩書房から送られてきた「創刊20周年記念 限定版ちくま文庫」で、それはこれまでのちくま文庫に載せられた解説のアンソロジーになっている。ぱらぱらと堀江敏幸から読み始めて、多和田葉子、蓮実重彦、矢川澄子といったあたりを飛ばし読みする。矢川澄子が書いている『アナイス・ニンの日記』に惹かれる。そういえばここに書かれているアナイス・ニンとヘンリー・ミラー、ミラーの妻のジェーンの物語は少し前に映画化されたものかもしれない。そして、ポール・ギャリコ『猫語の教科書』の短い大島弓子のマンガ解説に涙誘われるのだった。

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