2011/3/21
大地震から1週間余りがたった。この間、直接の被災から免れた一民間人として、日常と非日常がない交ぜになったような奇妙な感覚にとらわれ続けている。ここでは、このところの気になることについて、断片的なものになるが取り上げてみたい。
まず、震災のあった当日の夕刊記事の話。その夕刊にはまだ震災記事は間に合わず、それまでとかわらない印象の紙面だが、そのなかで目にとまった記事は、トップ扱いの「菅首相に違法献金の疑い 在日韓国人から 首相側未回答」の記事。地震がなければ先の前原前外相の第二ラウンドが始まっていたのであり、辞任せざるを得ない事態に現首相は陥っていたということだろう。大地震によって結果的に、首相として適性を欠いた人間を今の日本はいただかざるを得ないとう状況にあるのだということ。別のページには「菅首相の違法献金問題、法的には問題ないと認識」という悪いジョークのような財務大臣の談話も載っている。
もうひとつの記事は、社会面で小さな扱いだったが「ヒブワクチン130万本回収へ 異物混入の指摘受けて」というもの。接種後の乳幼児5人が死亡した例のワクチンの事件であるが、「厚生労働省は異物混入と乳幼児死亡には因果関係はないとみているが、サノフィパスツール(という外資の製薬メーカー)は安全を優先して回収することを決めた」ということで、いったいどのような異物が混入されていたのかの説明もなく、不可解な記事。
近年、インフルエンザをはじめとしてやたらと乳幼児・学童の予防接種が多いなと感じている中で、後味の悪さが残る記事だった。今も、TVでは、ACの子宮頚がん検診促進のスポットが流され続けているが、これもおそらく検診とワクチンをセットでということなのだろう。
次は、震災の翌日、首都圏から脱出の途上で小田急の車窓から不吉なものを見る。12日土曜日の朝は快晴で、ぎゅうぎゅう詰の小田急線の車窓から見る夜明けの太陽はたいそう美しかったのだけれど、その後町田あたりから人も降りて社内も空いてきたので窓からのんびり空を眺めていると、以前から気になっていた飛行機雲が一筋、今まで見たこともないような近さと角度で伸びている。そういえばこの近くに厚木基地があるのだった。この飛行機雲についての噂が本当だとしたら、米軍も震災の翌朝早々から容赦のないことだ。その後新幹線から見る富士の山は美しかったが、その上空には数本の飛行機雲がすでに拡散し始めていたのだった。
この飛行機雲、関西では18日が夥しく、その日の天気予報では快晴だったのに、すぐに薄曇りの陰気な天候となってしまった。そんなこともあり、この週末は要注意かなと思っていたのだった。今回米軍が名付けた大震災支援作戦の名称が「TOMODACHI(友達)」であるというが、上記のことがらもその作戦の一環なのだろうか。

今回の地震は非常に広域なプレート型の連動型地震かもしれないとのことであるが、気象庁の地震速報を見ていると内陸でも直下型の地震が局地的に集中していることに誰でも気づく。ネットでも一部話題に上がっているが、中でも新潟県中越地方と静岡県富士宮市が震源地として目立つ。16日の夜に比較的大きな地震が静岡県の東部であり、いよいよ今度はフィリピン海プレートが動き出すのかと不安なところであるが、これらの地震に対するマスコミや専門家筋からの情報は見当たらない。
本当に、大地震の可能性があるとしたら、また真っ先に気になるのは原発の存在であり、現に静岡県のプレート境界上には浜岡原発があり、地元の市民団体が一時休止を申し入れWEBで署名活動も行われている。ところが、そんな話題をマスメディアはほとんど取り上げない。この原発の行く末は首都圏の命運を決するとも考えられるのだが、東京方面の人々は何も感じないのだろうか、もっと騒いでもいいと思うのだが。
そして、一番驚いたのは、この間の国の対応とそれを報道する既成マスメディアの有様だ。いよいよもって、これは国家犯罪の域に達しているのではないだろうか。とくに原発を巡っての報道規制と事実の歪曲は甚だしい。「ただちに人体に影響を及ぼす数値ではない」という官房長官の決まり文句とともに画面で示されるのが、おなじみの「被爆線量と体への影響」を示す表なのだが、総量と単位時間当たり量を混同させたプレゼンでわかりにくく事実をぼかし、放射線被爆と放射性物質による体内被曝の差異についても明確に言及していない。被災地でこれを見せられたら誰でも激昂するのではないだろうか。

放射線量の正しい考え方については、以下の先生のレポートがわかりやすい。
http://takedanet.com/2011/03/11_0ba1.html
今、現在、被災地の人々は大変な状況におかれているのに、実際のところ現場の生の情報というのはほとんど伝えられていないのではないだろうか。また、おそらく被災地のほうでも一体だれがどのように動いてくれているのか、周辺の状況はどうなっているのか、原発の放射能はどうなのかといった様々な点で情報が不足していることだろう。
遠く離れた場所にあっては誰もが、義援金を送るとかそれ以外にはほとんど祈ることしかできないといった状況のなかで、ふとTVのスイッチを入れてみれば、取り残しのバラエティ番組がなんともう放送されていて、今日あたりからはほとんどいつも通りのプログラムに戻っているような有様である。このままではこちら側の人間はますます震災という「事象」から遠ざけられ、被災地の人々はいよいよ隔離幽閉されていくばかりではないだろうか。

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2011/3/19
窓を開けて夜空を眺めてみれば、異様に明るい月が天空に輝いていました。
今日3月19日の夜は春分の日の満月、なおかつ19年ぶりに月が最も地球に近づく最近値満月(supermoon)となります。
大潮となるので、余震が続く被災地周辺の海沿いは注意が必要です。
また、月が地球の地殻に及ぼす影響はわたしたちの想像以上のものがあるといいますから、再び、大きな地震が起こらないかと心配にもなります。

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2011/3/19
以下は、14日月曜日にとあるメーリング・リストに書き込んだもの。覚書としてここにも書き込んでおく。
当日は東京出張で地震のあった時間帯は江東区の本社で会議中でした。3階のフロアだったわりには、いままでにないような異常に長い横揺れのあと、さらに強い揺れがきたので建物から出ようということになって、外に出てみると、既にあちらこちらのビルやマンションから人々が不安そうに出てきていました。
揺れがおさまったと思って、いったん職場に戻ったのですが、今度は比較的強い縦揺れが来て、すわこれが本番かと思って再びビルの外へ。皆さん不安そうに呆然と立ち竦んでいます。この揺れが茨城沖の震源だったことは後で知ります。
会議が終わった後、まともに昼食をとっていなかったのでコンビニに立ち寄ると、すでに弁当を5個から10個買って帰っていく人がいます。私も、今日は帰れないかもしれないと思い、おにぎり6個とお茶を2本確保して事務所に戻りました。1時間後には、めぼしい食料はコンビニからなくなっていました。
案の定、鉄道がとまったので、その夜は会社で泊まりとなりました。高速が閉鎖されたせいか、前面道路は車で大渋滞、歩道では大勢の人が行列をつくって皆が都心から離れる方向へ黙々と歩いているのは異様な光景でした。
ひっきりなしの余震を不気味に感じながらも職場で情報収集に努めましたが、電話も通じず、職場にはテレビもラジオも無く、インターネットも重く、そんななかで、ネットのUSTREAMで中学生の男の子がIphoneをテレビの前に据えてNHKをLiveで配信してくれていたので、ようやく世の中の状況が飲み込めました。
首都にいながら、その時は多くの人が情報に飢えていたのではないでしょうか。ましてや被災地にいる方の不安は推して知るべしです。
明け方の4時頃、緊急地震速報がありひどく揺れて、今度は震源地が長野だというので、さすがに今回の地震はただ事ではないと、とにかくフォッサマグナの西側に早くたどり着きたいと思いました。
夜通しでメトロと小田急が走っているということを知り、すぐに会社を出て、新宿、小田原経由で新幹線に乗り土曜の昼前に奈良の自宅にたどり着きました。
その後は、自宅でもテレビを見ていたのですが、一番気になったのは福島原発の報道です。情報管制がしかれていたようで、いっこうにはっきりしない原子力保安院や官房長官の会見にはイライラしました。
関西では、1回目の建屋の爆発の映像がなかなか流れず、YoutubeにupされたBBCのニュース映像で初めて見ました。被災地でも原発でも現場の人々は命がけで仕事をしていただいていることと思います。それに較べてテレビをはじめとするマスコミの報道はどうにも焦点がぼけてわかり辛い印象です。このところ、何かにつけてマスコミ報道とネット情報とが乖離していることが気になります。
今日も東京方面へは電話がつながりません。海外におられる方や、国内外に外国人の友人のおられる方は、貴重な情報ソースと考えられます。また情報をいただければと思います。フランス人はすでに首都圏から非難しはじめているとのことですし。被災された方の少しでも多くの無事をお祈りするばかりです。

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