
(瞬間、必死の撮影、全然余裕がない)
ご存知の方もおられるかもしれないが滋賀県に瀬田川という川がある。流速が速くとにかくボイルや渦が多い。ワイルドウォーターのレースで何度もくだったことがあるが、明石大橋の下はまさにそんな感じ。ちょうど鹿跳橋のボイルだらけの下を越え、ちょっと心を落ち着けたいのに問答無用で鹿跳の瀬に流れ込むって感じ。イメージは大体200トン放流ぐらい。とにかく艇がまっすぐ進まない。ボイルで左右に振られる。

つい岸壁から距離をとりたいが少し右(沖側)によるだけで航路に入ってしまう。あがるところはないし万が一沈したらかなりヤバい。こういう状況になったらテンションが切り替わる。自分が沈することは絶対考えないで一つ一つ丁寧に波を越えていく。距離にしたら300〜500mぐらいか。あっという間に橋をくぐり流されていく。やはり紛れもない難所。写真は取れなかったが真下からみた橋は圧巻でした。

(橋を越えて500mぐらいで休憩、しかし本当にすぐ前が航路だ!)
少しいくと海釣り公園で入れるところがあったので休憩。ここまで約12km、平均実に7.3km/h(停止時間もはいってだから凄い)。
その時、携帯が鳴る、おおっ 仲間の兄貴だ!そういえば朝、電車の中からメールしたっけ・・状況と場所を報告、兄貴は明石方面で仕事、少し空き時間があるので須磨まで出迎えにきてくれるとのこと。ありがたい!潮もいいから2時ぐらいにはつきますと・・この時はなにも知らずに言ったのであった。

(ところどころに浮いてるエチゼンクラゲ、デカイ)
明石のアウトレットの横を通り一路須磨へ。まだ潮が追い潮なのでスイスイいけると思う私に思わぬショック、なんと時速が2〜3km/hしか出ない。反転流(エディーライン)だ。鳴戸海峡いったときもそうだったが、潮流がきついときは岬や岸壁で流れが反転、川で言うエディーラインを越えてしまう。地図を確認して今漕いでる場所がエディーラインとすると本流はどこか考える。しかしどう見てもそこは航路上、しかも岸壁によりたくても釣り場なので釣竿だらけ。しかたなくまるでダッキーのようなスピードでヘコヘコ進む。

(須磨の海釣り公園の手前、月見山の前の浜。力尽きて休憩)
さらに追い討ちのように持病の腰痛がはじまる。なんとか身体を伸ばしたり姿勢を変えながら漕ぐものの辛い。景色も橋を越えてからは全然かわらない。遠くに月見山が見えてあとはずっとまっすぐな海岸線。しかもふと気がつくとペットボトルがない。休憩したところに置き忘れた!心なしか頭が重い。もう9月も終わりというのに気温は31度。熱中症になったら話にならん。何度も水をすくって頭にかける。でも須磨はまだ遠くもう限界。兄貴には電話が通じず連絡がとれない。兄貴ゴメンナサイ。とても2時は無理です。もうちょっと休みます。
須磨の海釣り公園の手前で上陸。とにかく5分ほど浮かぶ。ああ、身体が冷えてキモチイイ。

(須磨の駅前のお出迎えは兄貴、この時のお茶の差し入れは忘れないよ!)
休憩したところから須磨の駅はたった2km、でもこの距離が漕げなかった。須磨の駅でなんと3時、10kmを3時間弱もかかったんです。笑ってやってください。やはり初めての場所は侮れない。
ここで終わって電車・・・と行きたいがまだ休めない。前に出たのは須磨の水族館、まだ道はつながっていない。お茶のんで少し元気が出た私は最後の力で出艇。なんと海岸沿いを歩いて応援してくれる兄貴!アリガトウ そしてついにゴール。ここに家から神戸、明石が繋がった。長かった。でもヤッタネ!

(ゴールの疲れた表情、笑う元気もない)
とても須磨駅まで漕ぐ気力もなくここで撤収。転がしながらJR鷹取駅へ。思えば昨年の2月、鷹取から歩いて水族館までいって香枦園まで漕いだんだなあ。
鷹取駅でなんと普通・松井山手行きが来る。これなら東寝屋川まで乗り換え無しでいける。もう乗り換えもしんどい。このまま乗って行こう。
三ノ宮で兄貴と別れ知らぬ間に寝ていた。ふとおきると海老江。ああダイブきたなあ。東寝屋川についたのは18時、もうバスに乗る気力もなくタクシーで家に。
今回は本当に疲れた・・けど楽しい一日だった。
<教訓> 水分補給は忘れずに! 兄貴アリガトウ、このご恩はいつか!

総行程:25.5km 移動時間:4時間33分 停止時間:56分40秒
移動平均:5.6km/h 全体平均:4.6km/h 最高速度13.1km/h
※このツアーはいろんな意味で物凄く印象深いツアーです。夏の間の疲れが溜まって漕ぐ気力が起きずになかなか漕ぎ出せなかった。しかし朝急に行こうと思い立ち行った事、おかげでこのあと充実した2ヶ月ほどを過ごせました。
そしてあの明石海峡の恐ろしさ、盛り上がって対岸が見えない海にきしむフレーム、橋の下でパドルが水を捕らえきれずに抜けた時は死んだか・・と思いました。本当に凄まじい水の力です。ファルトでいくところではなかった。そしてあの反転流、いまでもよく覚えています。いい教訓になりました。

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