2019/4/28
当ブログにおいては珍しく・物騒なタイトルで恐縮です。
「歴史ボードゲームとウォーゲームの違い」コメント欄の続きとして記載しております。
結論からすると「名作」ではありますが、それは幾つかの条件が存在して、だと私は主張します。逆説的に言えば、「単体」で見た場合は「佳作」レベルかなと。
「ハリコフ攻防戦」やJWC版で追加された「コンパス作戦」を含む『ドイツ戦車軍団』のセットで存在することによって、陸戦作戦級ゲームの主要ルールであるZOCの概念や戦線形成、包囲、機動力活用、予備戦力の必要性などを(適切な指南役が存在すれば)順次経験習得できるようになる、いわば「教科書」として「名作」なのだと思います。その分、諸々の史実・歴史的状況をより詳細に再現し、プレイヤーの行動を制約するものは極限まで削られるなど「誇張と省略(デフォルメ)」が大胆になされています。
ですので、大まかな「戦局推移」をゲームプレイで経験することは可能ではありますが、より詳細な「史実の追体験」的なプレイには向いていないアイテムだと思います。(そのような意図でプレイすること自体を否定するものではありません。)
「ダンケルク」に関しては、連合軍側の戦略的判断ミス、ドイツ側にも存在した誤判断など、実際の戦場で各々の指揮官が経験した問題点をより詳細に表現するには、何らかの追加ルールが必要、またはGMT〜コマンド誌付録になった「フランス’40 」などにその責を任せるべきではないでしょうか。
順番は逆になりますが「エル・アラメイン」についても同様で、その表現の限界についてはデザイナーズ・ノートに述べられているとおりです。
繰り返しますが、『ドイツ戦車軍団』は『ドイツ装甲軍団』『モスクワ'41』『レッド・タイフーン』さらには『ドゥブノ大戦車戦』といった直系後続のシリーズだけでなく広く陸戦作戦級ゲームの基本システム理解の基礎となり得る部分が「名作」なのだと考えます。
(追記)
「エル・アラメイン」「ダンケルク」である程度の技量となると、連合軍側が「必勝」という説について。
人によって「必勝」の指すところが100%なのか90%なのかは判りませんが、私も連合軍側の勝率が高いことは否定しません。
ただし、両ゲームとも初版が発表されてから35年以上、対戦研究が進められ、こと「ダンケルク」においては連合軍側がベストを尽くしても30%以上はドイツ軍に勝機があるのではないか、と思っております。
(ここでの「勝利」とはゲーム上でのものであり、フランスが降伏に至った史実とはまた別のものです。史実とゲームでの「勝利判定」の乖離については、また複雑なので、今回はここまでとします。)
この見解は、私str_takeshiの個人的見解であり、「茨城歴史ゲームの会」を代表してのものではありません。

1
投稿者: str_takeshi
詳細ページ -
コメント(0) |
トラックバック(0)
1 | 《前のページ | 次のページ》