ツーリングにおける地図の必要性については前に書いたとおりですが、重要なことは地図はコンパスと組み合わせてこそその機能を十分に発揮できるということです。
コンパスの役割として、整置(現地と地図の方向をあわせること)、進行方向の維持あるいは進行目標のチェック、現在地の確認があるでしょう。
そしてコンパスには、プレートタイプ・コンパス(写真の右側のもの。会社の名をとってシルバーコンパスと呼ばれることもあります)と一般のコンパス(写真のような固定型とハンディタイプの2種類)がありますが、結論から言うとプレートタイプ・コンパスが最も容易かつ素早くその役割を達成でるし、通常測定誤差も小さいものです。
そしてカヤックの場合、地図をマップケースに入れてデッキに固定している場合がほとんどだし、波や風で静止できないことも多いので、プレートタイプの特長がますます発揮されることになります。
逆に写真のようなカヤックのデッキに固定されたコンパスは、海峡横断のように一定方向に進む場合、つまり進行方向の維持のためには問題なしですがコンパスを動かすことができないため整置や現地確認がものすごく難しくなるし、仮にできたとしても間違いなく誤差も大きくなるでしょう。
海峡横断をケースを除くと、プレートタイプ、一般ハンディタイプ、デッキコンパスの順で使い勝手がよいということになります。
なおコンパスを使うときに留意すべきことは、地図上の北(真北)とコンパスが差す北(磁北)にはズレ(偏角)があることです。日本ではその大きさは4度から10度の範囲でに西にずれていて、長崎では6°20′前後です。海図や地形図にはその値が記載されていますので、ナビゲーションをより正確で容易にするため、地域の偏角に対応した磁北線をあらかじめ地図上に落としておくとても便利です。

北海道はこのような目標物がない海岸が延々と続くフィールドだらけでした。このような時には地図・コンパスによる現地確認がほとんど不可能なので、所要時間から移動距離を推測し現在地を確認する方法をとりました。
GPSがあれば問題なしのようですが、GPS画像の地図では読み取りがよくできないので地図上に緯線・経線を事前に落とし、地図との併用することがはるかに便利です。

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