淡路島一周のウエアについてはロングジョン(ウエット)を着用しました。速乾性の上下下着にパドリングパンツ・ジャケットでの服装の方が快適なのですが、海水温が18℃前後以下の場合はウエットウエアでツーリングするようにしています。これは沈脱して長時間漂流をする事態をに備えてです。
低体温症による大きな遭難事例として、最近ではトムラムシでの夏季ガイドツアー遭難が大きなニュースとなりましたが、タイタニック号や日本陸軍の八甲田山遭難での大量死も低体温症によるものです。低体温症は人間の体温が奪われて35℃以下に下がった場合と定義されますが、人が水中にいる場合は空気中よりも25倍の速さで体温を奪われるといいますから、冬から春にかけて漕ぐ場合には低体温症は大きな留意事項です。
ところが低体温症は、着用している衣服はもちろんのこと個人的な特性(体型・年齢・皮下脂肪の厚さ・寒冷への感受性・カロリーの摂取量・体力など)によって個人差があるといいます。

これはUSAコーストガード発表の水温と低体温症による症状の関係を示した有名なデータですが、一見してわかるとおりすごくアバウトな感じです。

こちらの資料によると平均的な人にとっての危険限界水温は20℃となりますが、個人差がかなりありますから(また西洋人は日本人よりも低体温にかなり強いから)安全確保のためには自分の平均生存時間がどのような曲線を描くものか実験して把握することも大切かもしれません。そこまでしなくて常日頃自分にとって我慢できる水温について把握しておくことは大切でしょう。
ところで低体温症を回復させるための処置はその段階により異なることを留意する必要があります。ドラマや小説などで、低体温症に陥った恋人などを裸になって暖めるシーンが時たまありますが、これは体温低下が34℃までの軽度の場合の加温法でそれ以下の場合は厳禁。軽度・中程度・重症それぞれの段階でなすべき応急措置がことなるといいます。
”気づかないうちに忍び寄るように来て、急激に悪化する”低体温症。山と同様に海遊びでも細心の注意を払うことが大切です。
登山での遭難に関してのものですが、「トムラウシ山遭難はなぜ起きたのか」(山と渓谷社)は低体温症についてだけでなくガイドツアーの有様についてもとても参考になりました。

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