三河湾の遭難死亡事故を受けて(社)中部小型船舶安全協会が「シーカヤックを安全に楽しむために」というチラシを作成しています。
http://blog.canpan.info/tyuubu/archive/26
このなかで”シーカヤックは「沈(転倒)」が前提である乗り物”として”「沈」した時にシーカヤックから脱出する「沈脱」、「沈」した時に沈脱することなくシーカヤックごと起き上がる「ロール」等のスキルは、必ず習得する必要があります”と記述しています。
この文章は少しおかしいですね。「沈脱」は別にスキルとは言えないでしょう。ここは”沈脱した時に再乗艇するためのスキル”と言い替えて、具体的にはパドルフロート・レスキューと例示したらよかったのではと思います。

パドルフロート・レスキューは写真のようにパドルフロートを使用する方法で、ロールができないあるいはロールを何度やっても失敗した場合に有効な方法で、私の経験では結構荒れた海況でも成功しています。その手順は次の通りです。
@引っくり返ったカヤックのコクピットに一方の足を入れカヤックから離れないようにし、デッキ上にあるパドルフロートを取り出しパドルのブレードに取り付ける。
Aカヤックを元に戻しバウ側を波の方向に回す。
B反対側のブレードをデッキコード及びバンジーコードを利用してコクピットのすぐ後ろのデッキに固定する。パドルフロートのある側から乗艇する。
Cコクピットの縁を両手で掴み(写真の場合は)左足をパドルのシャフトに載せ、右足をコクピットに入れる。
D体を低くかがめた状態で、続いて左足をコクピットに入れる。
Eうつぶせの状態から体をパドルフロート側に回転させながらシートに座る。
Fスプレースカートを一部空けて付け、ビルジポンプで水を汲みだす。なお重心はパドルフロート側にかける。
Gパドルフロートをパドルから外し、コクピットの中に入れるか元の位置に戻す。この時に再沈しないように留意する。
このレスキュー方法の長所は技術習得が簡単なことです。最初は静水で、慣れたら(複数の人数で)波のある所で練習し、スキルアップを図りましょう。

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