転覆した漁船の中に生存者発見の報道を見て、
感動した。まだ発見されてない乗組員の方も
おられる。ひっくり返った船の中と言うのは、
真っ暗で、まったく何も見えない。
視界がまったくきかない濁った海の中で仕事を
するときは、わざと目をつぶる。
視点を合わせることが出来ない場所では、
平衡感覚も何も感じられなくなって
目をあけているとパニックにおこたりやすいからだ。
ある収容所で、真っ暗な部屋の中で人間が
正気を保てるのは3日が限度だという結果が
出ているそうだ。そんな真っ暗なひっくりかえった
船室の中のわずかな空気スペースの中で
上下がわかったのは、救命胴衣か何かで浮力が
確保できたことと、強靭な精神力を
持った人がいたからだろう。
台風が通過している海に揺られて、自分たちが
どこにいるのかもわからず船にあたる波の音から
救助が来るなんてこともしていなかったときに
船の音が聞こえたときには、どんな気持ちが
したのか、自分自身は経験したくはない。
ひっくりかえった船の船底から外へ出られたのも、
保安庁の特別救難隊だからこそ出来たことだと
思う。このような遭難事故で救難隊が生存者を
救出することは任官中に1〜2回あるかないからしい。
