公設市場が新しくオープンした。
「にぎわい空間の創出・経済活性化・交流の場」に
期待がかかる。
市場に入居するのは、野菜や精肉、鮮魚、特産加工品。土産品、
食堂を含め計17店舗。取り壊した後に不法占拠していたオバァも
付近の一角に出店することになった。
市場は島の台所と言われ、朝、昼、夕にはたくさんの人が買い物に
訪れていた。当時は冷蔵庫がなかったからという人もいる。
大型スーパーが出来て、市場で買い物をする人がすくなくなり、
あれだけ賑やかだった市場に人が少なくなり、いつのまにか
老人ホームのロビーのようになってしまった。
歩けないくらい賑やかだった市場を知る人もやがて思い出話の
一つになるだろう。
建物が新築されいくら新しくなっても、あの元気だったオバァたちの
姿はもう見られない。白髪の双子のようなオバァや包丁を振り回し
ながら世間話をするオバァ、軽々と豚を担いで階段を上るオジィ、
ガザミ売りのオバァ達、懐かしい顔が思い浮かぶ。
前の市場には大変世話になった。だましだまされ、安く買いたたかれた
こともあったが本当に困った時は、本当に世話になった。
いつか恩返しが出来ればと、思っていたが、その機会はもう二度と
訪れない。
オバァも市場の前で見かけるが、カラカラ先生の顔は認識できても、
私の顔は忘れてしまったようだ。それでも釣り銭は間違えないと
いうのだからおそれいる。新しくなったと言うのに、なんだか
さみしいことばかり思い出してしまう。
