オバァの家のテーブルの上には、大きなマッチ箱が
置かれている。たしかオバァはタバコを吸わない
はずだが、今ではほとんど見なくなったマッチ箱がある。
田舎の方の家に行くとテーブルの上や台所にマッチ箱が
置かれているのを見る。
以前よく行っていた居酒屋のテーブルの上にも
マッチ箱が置かれていた。
赤いパーッケージに、小判をくわえた鶴が羽根を
広げている絵がかいてある。昔はどこの家にも置いて
あったが、おそらく今の子供たちどころかスタッフの年代
でもマッチを知らないかも知れない。
子供の頃の我が家では、大人達はすべて喫煙者であった。
父も母もそれぞれお気に入りのライターを持ち、
祖母のエプロンのポケットにはマッチの箱が必ず入っていた。
小学生のころ、万博が終わった頃から使い捨てのライターが
登場した。百円ショップで売られるようになったことで
百円タイターと呼ばれているが、当時は、
チルチルミチルと呼んでいた。
喫茶店に入れば店の名前が書かれた薄っぺらいマッチが
無料で貰えて、それを趣味で集める人も珍しくなかった。
つい昨日のことのように思うが、子供たちはマッチと
いう名称すら知らないそうだ。そういえば今の車には
ライターと灰皿がついていない。
飛行機や新幹線の中でタバコが吸えたと言っても
信じてもらえないのだから・・・
