海からの帰り道に、道路に車を停めて、通り過ぎる車に
手を振り呼び止めようとしているオバァが
遠くから見えた。オバァに気づいているのか気づいて
いないのか、前を走る車はほとんど無視して通り過ぎる。
おそらく伊良部大橋の近くだったので、レンタカー
ばかりだったのだろう。
島の人なら迷わず停まる。
呼び止めるオバァに車を寄せて「どうしたの?」
と聞けば、これが佐良浜のオバァで言葉が
聞き取りにくい。
オバァの近くに観光船で来たと思われる自転車に
乗った外国人が3人いた。
その内の一人の自転車がパンクしている。
状況からこの外国人3人が助を求めて停めた車が
オバァだった。
オバァはことの成り行きを長々と説明するが、佐良浜方言を
標準語に置き換えて話すので、何を言っているの
かわからない。
状況を察したので、レンタル自転車屋を特定して、
タクシーを呼んだ。
あらかじめ自転車を載せることをタクシー会社に連絡済み。
忙しかったので、さすがにタクシーの到着までは
待てなかったが、オバァはその後も付き添っていた。
本土なら外国人に呼び止められると躊躇するが、
沖縄のオバァは平気なもんだ。
相手の言葉が通じない、自分の言葉も通じないという
状況に慣れている。
それにしても前を走っていた数台の車はスピードを
落とすことなく通り過ぎていった。
レンタカーは観光客であるが、一台くらい停まっても
よさそうなものなのに。
車を停めたときオバァは息を切らしていた。
