以前住んでいた近くを車で通ると、いつも
かよっていた「まっちゃ」がなくなっていた。
沖縄方言で「マチグヮ」「マチ」は「市」の意で「グヮ」は
「小さい」の意。標準語で一番近い単語は「小売店」。
宮古島では「まっちゃ」という。
地域密着型小売店で、洗剤からパンツ、
文房具生活必需品を売っている。
家の洗濯洗剤の無くなり具合までマッチャの
オバァは把握している。
海から帰るとマッチャに行ってビールを買うのが
日課で、そのついでに生活品を買ったりする。
地域の情報もマッチャに集まるので、どこそこの
家の子供が今年入学式を迎えるとか、
車の免許にあの子は落ちたとか、結婚情報から
離婚、不倫に至るまですべての近所の情報が集まる。
話好きなオバァ達のユンタク場所にもなっている。
住宅地の周囲100m以内には、
必ず「まっちゃ」があった。
コンビニが出来たから「まっちゃ」が無くなったと
言うが、コンビニが出来ようが
「まっちゃ」の敵ではない。
どこの「まっちゃ」も店主はオバァと決まっている。
後継者がいるわけでもなく、オバァの体力、気力が
なくなった時点で「まっちゃ」が
終わりをむかえたんだろう。
海から帰って「まっちゃ」に顔を出す。
その日常が永遠と続くとあの頃は思っていた
時期もあった。
