紙芝居師の広場

【2009年5月のテーマ　旅01】

　さっきの丘を下り始めたあたりから、天気も一緒に下りはじめていた。それも急激に。
「日暮れまで待ってくれれば次の宿場だっていうのに」
　自分の読みの甘さを棚にあげつつ、プカプカは空に向かって毒づいた。もちろんそのあとに「マハスラー」と続けるのも忘れない。神々はどこで聞いているかわからないものだ。

【聖都物語　試編２　17】

「おかしいな、こいつはおかしいんじゃないか？」
　しばらく納戸の中を調べていたイレイ先生がうめいた。
　僕は、僕だけが持っている特別な「目」で、どんな小さな神も見逃さないよう、納戸の中、特に例の奇妙な神がいたあたりを見ていたのだが、先生の方に向き直った。

【聖都物語　試編２　16】

　翌日。
　僕はいったん庵まで先生を迎えに出かけ、それから例の納戸にやってきた。
「いったい、どんな予想をしているんですか？　先生は」
　僕は、入り口の階段の前で先生に聞いてみた。
「行けばすぐにわかる。なにか変化があるはずだ」