紙芝居師の広場

【女たちの館　01】

　ぎしぎしと熱い日差しの下を歩いていく。
　こういう日は、普段持ち歩き慣れているはずの荷物でさえひどく重く感じる。
　暑い日は羽虫どもが元気になってそりゃあ鬱陶しいものなのだが、さすがにここまで熱いと虫どもでさえ飛び回る気になれないと見える。
「つまりこんな日におもてを歩いている僕は虫以下ってことか……」
　オライは流れ落ちる汗を拭いもせずつぶやいた。うねうねくねりながら続く道はヌイ村へ通じる間道で、話では行き来するひとも結構いると聞いていたが、さっきから誰とも会わない。

【聖都物語　試編２　34】

　やはり汗をかきながらやってきた守護団の面々は背負った荷物を解き始めた。
「言われたものはごっそりかき集めてきたぞ」
「ありがとう。イルどの。それにシントラさん、ニスナさんも。ふたりはもうずっと休んでいないだろうに」

【聖都物語　試編２　33】

　汗だくになった僕とエイキさんが納戸のある原っぱにたどり着いた頃には、だいぶ空が明るくなり始めていた。もうさすがに闇の中の小さき神を恐れる必要はない。

【聖都物語　試編２　32】

「俺たちはいま言われたものを集めてくればいいんだな」
　イルどのは、列挙されたものを復唱しつつうなずいた。
「急いでくれよ。雌の蜘蛛神を求めて雄神がやってくるまでどれだけの時間が残されているか皆目分からないんだから」
「任せておけ。すぐに荷車いっぱいにしてくるさ。合流場所は例の納戸のところでいいんだな？」

【聖都物語　試編２　31】

「まさか！　そんなことまでするものでしょうか」
　ミグさんが僕の首にかぶりついて、血まみれになって肉を咬み裂いている様子が一瞬目に浮かんだ。
　そんな恐ろしいこと！