【小説 国王記 01】
クンカァンはまだ五王国が四王国だった時代からウラナングに従っている古い国にも関わらず、新興のヴラスウルよりもその地位が低かった。
クンカァンという国の貧しさがその一因にある。聖都や王都ハンムーが華美な文化を極め、奢侈に溺れているとき、クンカァンでは首都ボルグロニでさえ、ハンムーの貧村と変わらぬ暮らしをしていたのである。
むろんクンカァンの地位の低さは、必ずしも貧しさだけに負っていたというわけではない。内陸で大河の恵みも得られず、糖竹が産する以外に大きな産業といえば、ランタイなどが名を知られる傭兵くらいしかないこの国が他から一段低く見られていたとしても致し方ないところっはあった。要は他の国にとってクンカァンは使用人的なものだと思われていたのだ。

0