紙芝居師の広場

「巫女姫様、辛いですねこれ」
「田舎者じゃなヌアットは。これが聖都風の味というものじゃ」
「ほんとですね？」
「……少しは妾の好みも入っておる。神殿勤めの退屈な生活にはちょっとした刺激が必要なのじゃ」
「あれだけやっておいてまだ刺激ですか？今日だってダナ＝シラ様に黙って来てるのに」


※『巫女姫１４０』は、『聖都物語』の小編です。

「巫女姫である。五王国の統治者である」
「天下の安寧は姫様あってのことでございます」
「わかっていればよい。ではそこの菓子を……」
「青瓜の炒めものを食べ終えたら差し上げます」
「巫女姫であるぞ。五王国の統治者であるぞ！」
「はい。お菓子は青瓜を食べてからでございます」
「青瓜は苦いから嫌いなのじゃああ」


※『巫女姫１４０』は『聖都物語』の小編です。

「おいヌアット」
「な、なんだい」
「お前がンクララどのやお嬢ちゃんを見る目、おかしいぞ」
「そんなことないよ。けっしてやましいことなんか……いやそれは確かにンクララ様は時々妙に無防備だし、ミグさんにいたってはわざと見せつけてるような気もするけどでも僕は……」
「なぜ俺はああいう目で見ない！」
「え？」


※『巫女姫１４０』は『聖都物語』の小編です。

「僕にだけ見えるということは彼女は神なのか？でも言葉を交わせる神がいるなんて。これは研究しがいがあるぞ」
「研究熱心ね、流石学者さん」
「この前の！　やっぱり神なんですか？」
「どちらと答えてもそれを証明することができる？ふふ困った顔しないで。あたしはあなたとお話したいだけなの」


※『巫女姫１４０』は『聖都物語』の小編です。

「先生いま誰かと話してました？」
「誰かって、もしかして怒ってる？　彼女とはハンムー神話の話をしていただけでミグさんが考えているようなことはなにも……」
「彼女？　先生おひとりで喋ってたから……」
「え、だっていま……。ってミグさん彼女のことが見えてなかった？　つまり彼女は……」


※『巫女姫１４０』は『聖都物語』の小編です。