【くるみ坂の少女 24】
…………。
少女「いいよ。見ても」
ヌアット「…………」
僕はおそるおそるついたてから顔を出した。
簡素な着物姿の少女がこっちを見ている。
結った髪はもうおろしてしまっている。
あれ?
この子は娼妓ではないんだろうか?
いま着ている着物は、みすぼらしくはないけれど、娼妓たちが身に着けている華やかなそれと較べるとずっと地味で、引きずるような長さの裾でもない。前で結んだ腰帯の結び方は町娘たちのそれとは違っていて、それが唯一、この店風といえるくらいだった。
さっき彼女が着ていた(のか脱いでいたのか)着物は、すごく派手な模様をしていたように思ったけれど……。

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