推定人口:50万人(誇張か?)
首都:ボルグロニ
現君主:クルグラン
国を象徴する色:黒
●国土
クンカァンの領域はゴヌドイル川上流域、その北側にあるクンカァン盆地とテガーナ高原です。国内にはいくつかの山脈が縦横に走り、複雑な地勢を形成しています。北から東に欠けてそびえ立つムンディ山脈の高山は、闇の領域との現在の境界線(※1)です。山岳と高原が多いため、温暖なカナン地域の中では気候は比較的厳しく、ムンディ山脈の高山には雪さえ降ります。
●産業
山がちな国土は肥沃な土地が少ないため、農作物は痩せた土地でも穫れるイモ類、豆類が中心です。衣料の原料としては麻が栽培されています。また馬、ロバ、家禽などの飼育は盛んで、特に東部のテガーナ高原は馬の産地として有名です。特に優秀な血統の馬は軍用として国有の放牧場で厳重な管理され、特に認められて贈られる場合を除き、国外への持ち出しはかたく禁じられています。馬泥棒は残虐な方法で処刑されるのです。
食糧と衣料の生産は充分ではなく、かなりの部分をゴヌドイル川の水運によって他国から輸入しています。かわりに輸出しているのは、山岳地帯で豊富に産出する地下資源、お及びその製品です。国内各地の鉱山からは鉄、銅、錫、鉛などの金属、大理石などの建築用石材、岩塩、琥珀などが採掘されています。変わったところでは、ムンディ山脈の氷も出荷されます。これは専用の駅伝と船を駆使して運ばれるのですが、それでも大半が輸送途中で溶けてしまいます。温暖なカナンでは氷は極めて高価な贅沢品なのです。
金銀はほとんど採れませんが、これらの資源が大地の恵みの少ない国を充分に潤しているのです。
鉱業では武器や金属器の製造など、金属加工業が特に発達していますが、それももちろん鉄などの地下資源があればこそでしょう。
資源と言えば、クンカァンでは人間もまた重要な資源です。残念ながらカナンには、人が人を所有し売買する奴隷制度が存在していますが、五大国の中でも人身売買が最も盛んなのがこのクンカァンです。鉱山での採掘、山岳地域での物資の輸送、そのための道路網の維持などのため、常に奴隷労働力の需要があるためです。農村や山村で家族を養いきれぬ家から口減らしのために奴隷が供給されますが、それだけでは足りず、他国から輸入し、時には戦争捕虜を奴隷とするだけのために他国に戦争をしかけます。つまりこの国では戦争も重要な産業なのです。
●文化
クンカァンは、軍事国家です。辺境蛮族や、闇の領域の魔物たちの脅威が身近に迫っている立地条件のため、歴史的に軍事に力を入れざるをえなかったからです。また、前述のように奴隷化するための戦争捕虜が必要だったことも、軍事大国化する一因でした。近年も、それでもまだまだと言わんばかりに新君主の下で軍制度が改革され、カナンとしては画期的な軍団が編成されています。
この国では平民の兵士でも戦場で手柄を立てれば貴族に取り立てられることが多いため、兵士は人気の高い職業です。有力な門閥貴族の家の者でさえ、軍歴がなければ家督を継ぐことすら許されないほどです。中には形ばかりの従軍でお茶を濁す貴族もいますが。
とにかく、ここでは国全体に軍事色が濃く、文化も質実剛健です。強い者は尊敬されて軟弱な者は軽蔑される傾向があります。
●君主
クルグラン(※2)
(年齢不詳/男性)
謎に満ちた君主です。
闇の領域のものたちを従え、その軍である大魔軍を率い、たまたまテガーナの乱の起こっていたクンカァン国に出現。反乱をあっさりと鎮めてこの国の英雄となりました。さらに、人望のなかった当時のクンカァン王ゴニクを自ら殺します。この時彼は自慢の怪力で、肥満したゴニクの肉体を片手で投げ飛ばし、壁に叩きつけて頭蓋を割ったと言われています。
普通ならこれは、簒奪とか弑逆などと言われるところでしょうが、クマリのレシマはこの政変を認め、クルグランを正当なクンカァン王として承認しました。その後、敵対者を殺しつくした彼は、軍制を改革し、カナン最強の軍隊を作り上げたのです。単に腕力が強いだけの男ではない、といったところでしょう。
クルグランの過去を知る者は一人もいません。クンカァンに来るまで彼がどこで何をして、どうやって闇のものを配下にしたのかはいっさい謎なのです。そのあたりが、他の国々に警戒されています。
※1:「最後の神」戦役前までは、闇の領域とカナン世界の境界は進退を繰り返していた。戦役後、闇の領域は大きく後退し、減少していったとされている。
※2:「最後の神」戦役を引き起こした人物として知られる。
「カナンの人生波瀾万丈」のクルグランの回に詳しい。←クリックすると、クルグランの回が見られます。
(注釈部分は、転記者である伊豆平成が2011年現在に付け加えたものです)
◇神聖期101年『最後の神』戦役直前での五王国の様子を紹介しています。カナン世界の物語を書くとき、ゲームに参加するときの参考にししてください。

0