推定人口:30万
首都:ジュッタロッタ
君主:ミカニカ
国を象徴する色:赤
●国土
カナン地域の南東、ネタニ川上流域に位置する国です。山岳らしい山岳はありませんが、平野と言うには丘陵が多くて起伏に富んだ土地柄です。北はカヤクタナに通じ、西でわずかにハンムーとも国境を接しています。東と南は辺境地帯です。国土の東部には巨大な密林が広がっていますが、開拓されつつあります。
●産業
密林や辺境の開拓は、この国の前身であるセモネンドの時代から国家的事業で、今も継続中です。
その主体となる開拓者は、主として税や借金のために他の国から逃れてきた農民たちです。彼らがそれぞれの故郷で作っていた物を育てるため、作物は実に多彩で、穀物、イモ類、豆類、野菜、果実類、香辛料、麻、綿花、染料と、まさになんでもありといった感じです。もっとも、家畜の飼育はそれほど盛んではありません(※1)。
密林が身近なため、林産資源も豊富です。このため家具作りや木工細工などの技術も発達しています。漆も産するため、漆器の製造も盛んです。最近では養蚕技術を導入し、絹の生産も始まっています。
開拓地は蛮族の勢力圏と接していて紛争が絶えませんが(※2)、逆に言うと蛮族さえ何とかすれば国を拡大できる余地があるということでもあります。また戦いが多いということは軍需が多いということでもあり、武器などの商品が流通するために、国全体の景気も良いようです。
しかし、この国には開拓の海や商人だけでなく、犯罪者や無法者も集まってくるという問題点もあります。密林や辺境地域には大規模な盗賊団が跋扈し、この国を悩ませているのです。
●文化
雑多な人々の集まるこの国の文化は、新興国らしく荒削りで、繊細さに欠けます。が、力強さに満ちており、陽気でたくましい開拓者の気質を反映しています。
蛮族の侵入や盗賊の横行のため、開拓農民たちは自らを守るために結束しており、必要とあれば彼らは勇猛に戦います。この国の農民を他の国の農民と同じに考えると、痛い目にあうことでしょう(※3)。
とにかくヴラスウルはいろいろな意味で活気に満ちている国なのです。
●君主
ミカニカ
(12歳/女性)
ヴラスウルの君主はなんとまだ12歳の少女です。2年前に両親が相次いで死亡し、国を相続することになりました。もちろん実際の政治は摂政クテロップ(52歳)が担当しますが、それにしてもミカニカ地震が世間一般の少女よりも聡明でなかったら、即位は実現しなかったかもしれません。彼女は12歳とは思えないほどのしっかり者で、醒めた目で大人たちを見ています。彼女を子供と侮る者は、鋭い皮肉を浴びせられることになるでしょう(※4)。
※1:その後、開拓民の中に馬の生産に着手するものが現れた。
※2:闇の勢力はヴラスウルの領土も大きく浸食した。戦役末期には、ヴォジクが一部進行して戦争状態になった。
※3:クンカァン傭兵についで、ヴラスウルにも農閑期には傭兵業を営むものが多かった。
※4:その後、カヤクタナとヴラスウルは統合され、クンカァンを吸収して東の大国となる。詳しくは「カナンの人生・波瀾万丈」のウナレ王妃の項参照。

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