2011/5/21  20:29

父の歌4  短歌

〈口からの食事が絶たれて8ヶ月。やっとかなった摂食嚥下(えんげ)専門の大学教授による検査は、7名の学生を前に行われた〉

 やっと来た 胃瘻(いろう)絶食8ヶ月 検査のゼリーに「紅茶はまだか」
「合格」と聞いて 「検査にはコツがある」上機嫌にて豪語する父
「食べに行こう」 かけ声掛ける父親に 「固形物はまだ」と諭し乗車す 
「条件付き」 とろみの飲食 許可されて 凱旋気分で家路を急ぐ
 久しぶり コーンポタージュでの再開も 暫くすると「食べてないよ」(5/24)  

 仏典に曰く、
「如来は苦を受けて、苦を覚(し)らず
 衆の受苦を、己が苦と為す
 衆生の為に地獄に入ると雖(いえど)も、苦想(くそう)を生ぜず
 一味の大慈の心を具えて
 衆生を憐れむこと子想(しそう)の如し」
 
 一介の末葉なれど み仏のみ心(こころ)拝受し 「地獄」で楽を得(う)

〈5/22朝に震度3の地震発生〉
 大地揺れ 病床の父の手を握り 「最期まで仕えて行こう」と心に誓う

〈一昨年、73歳の父が出席した中学校の同窓会に、私は付き添いで同行した。父の同窓会参加は、還暦の時に続き、2回目だと言う〉
「何組の誰ちゃんだっげ?」と声かかる 付き添いで行く 老父(ちち)の同窓会
「親しかった人にはこの世で感謝を」と 促しながら 会場を巡る
 杖ついて上座の友人目指したら マイク渡され 全員に挨拶
 壇上で震える足を支えつつ 感謝の台詞を足許から伝える

〈5/30に披露宴2年目、7/4に入籍3年目を迎えるにあたり〉
 今日もまた 長い介護が終わり来て 妻の寝顔に「ありがとう」

〈妻に感謝 父に感謝 先祖に感謝 神仏に感謝 一切に感謝〉
 介護付き 新婚生活3年目 畳に端座し 額を付ける

〈5/23 今日の父は朝から上機嫌〉
 寝室でうめき声かと思いきや カラオケ気分で思い出メドレー
「忘れぬうち」 初恋思い出語りだし 気分はいつしか青春時代へ
「亡き妻はいい人だった」の過去形を 現在形へと訂正願う 
   
〈5/25 パーキンソン病は自律神経を冒す〉
「この生活、ついてけないよ」と父は言う 身体ガタガタ 頭グルグル
 寝たきりのボタン一つが分かれ道 焦熱地獄へ 八寒地獄へ

〈5/26 父はデイ、妻は外出〉
せっかくの一人きりの仕事時間 気負って始まり ほどなく睡沈(すいちん) 
 
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