「注意:巴里で美術館巡りをしているとそれだけで一日が終わってしまう!」
欧州使節記
今夜はパリ最後の夜。今夜こそ芝居のチケットを手に入れようとモンパルナスのチケットセンターを訪れたが昼過ぎからしか開いてようなので時間を潰すことにする。アンバリットまで歩き、ロダン美術館を訪れる。
生命の躍動感にあふれたロダンの作品群に深く感動!写真で観るよりも実際に手で触ってみると彼の作品の持つエネルギーが分かる。それまでの綺麗なだけの彫刻と違ってもっとドロドロとした温もりを表現したロダン。彼もアートを通して生命を想像し続けた見習うべき人である。

どこか80'sアイドルっぽい振り付け

江頭2:50
せっかくだからと近くのオルセー美術館も訪れる。
パリではルーブルに次ぐ有名な美術館だが、日本人はルーブルよりこちらの方が好きという人も多いのではないか?なぜならこちらの花形は日本の浮世絵に影響を受けたという印象派画家の作品群だからだ。ゴッホ、ルノワール、モネ、マネ、ゴーギャン、ピサロ、セザンヌ。日本人の情緒にダイレクトに訴えかけてくる絵が多いように思う。個人的にはゴッホやモネの絵はいつまで見ていても飽きない。ルーブルを回ると目が疲れたこちらは逆に目を癒してくれる。
館内のレストランで食事。日本では美術館の食堂など高くてウマくないのが相場だが、そこはフランス!エントレに生ハムのチーズ乗せ(日本で食べる生ハムより味がずっと濃厚でビールが進む)、メインプレートにサーロインステーキと鴨肉の季節フルーツソース煮。いや〜まったくもって美味!感動物だ!ステーキなんてまるでプリンを食べているように柔らかい。鴨肉のソースを付け合せのフィットチーネですくって食べる。まろやかで豊潤でルノワールの絵のよう。この味は完全に参ったね…。
印象派の展示室を行ったり来たり、ベンチに座ってボーっと眺めているうちにあっという間に閉館時間。や、やばい!今夜のチケットが…!
慌ててメトロでモンパルナスに戻り、チケットセンターを訪ねる。受付の人に「今夜観れる芝居でお勧めのやつを選んでくれ」というと「100以上あるから選べない」とのこと。しかし「もしフランス語が分からないならこんなのはどうだ?」とコメディ・デ・シャンゼリゼでやっている「DUEL」という芝居を薦めてくれた。
コメディ・デ・シャンゼリゼは有名なシャンゼリゼ劇場の中にある小ホール。「DUEL」はピアニストとチェロ奏者による音楽とお笑いのショー。演奏の技術も申し分なくしかも笑えて凄く面白かった。パリを舞台にしチャップリンの「ライムライト」という映画で年老いた芸人チャップリンとキートンがピアノとバイオリンで芸をしていたが正にあんな感じ。フランスの伝統芸能なのだろうか?音楽、コメディ、無言劇など様々な要素が凝縮された素晴らしいステージで大満足!そして大いに勉強になった。あのチケット屋の兄ちゃん、実に粋なチョイスをしてくれたものだ。逆に私が日本で外人に芝居を選んでくれと言われたら一体何と答えれるだろう?あなたなら何を薦められますか?
心地よい余韻に浸ったまま北駅に戻って、エチオピア料理の店に入る。フランス人は好奇心が旺盛だから(特に食に関しては)色んな食文化を許容する。洗練されたフランス料理とは違って甘辛く煮た肉や野菜を巨大な餃子の皮のようなパテでくるんで手で食べる。ウマかった!ワインが進む。
あまりに気持ちが良くってホテルに戻ってワインをもう一瓶開ける。
巴里の最後の夜は更けてゆく。

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