「渋さ知らずオーケストラ」を知っているだろうか?
その筋では名のあるビッグバンド・ジャズ・グループだ。カミさんの従姉妹がそのバンドでボーカルをやっている。室舘彩さんという。
今日はその室舘さんとピアニスト、板橋文夫さんとのデュオ・ライブ。室舘さんのライブは今まで何度か観に行ったが、個人的には今夜のライブが一番よかったと思う。今日のライブは昨年亡くなった室舘さんのお父さん(つまりウチのカミさんの叔父さん)のための追悼ライブと銘をうたれていて会場にはお父さんが生前に描いた絵が飾られていた。きっとお父さんの霊を感じていただろう室舘さんの唄は優しく暖かくちょっとノスタルジックで、そして何よりミサのように神聖なオーラが漂っていた。いつもより声のコンディションがよくないということだったが、そのギリギリの危うさもまた終始絶えることのない緊張感を生み出していて聴くものの心を揺さぶっているように思えた。
何か音楽のライブというより演劇を一本観たような気分になった。
ハーフタイムにお父さんの最期の作品のポストカードが配られた。題名は「黄昏の冥加」。
裏には芋版で「時は黄金の神」という言葉が刻まれていた。
昨日の今日で心があらわれる夜だった。芸術は尊い!


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