お腹も膨れていい塩梅。これから昨日の続きの撮影に入ろうということになった。
大体の画は撮れていたのだが、チャイニーズ・シアターの前でマリリン・モンローやアメコミ・ヒーロー等のコスプレ野郎の中を私が着物姿で闊歩しているという画も面白いんじゃないか?そう思ってちゃんと着物も持ってきたのだ。
そう思って「スーパーマン」のクラーク・ケントよろしく公衆便所を探して着替えようと風呂敷を開けると…。
…ない!
…袴がない!着物と羽織はちゃんと入っているが肝心の袴がない!
私が持っている和服は以前ブログでも書いたと思うがカミさんの祖父と私の祖父から譲り受けたものだ。二人とも昔の人なので私が着ると裾がかなりつんつるてんになってしまう。それを袴で隠していたのだ。だから私の和装には袴がどうしても不可欠だったのである!
私はそれをうっかり忘れてきてしまったのだ!何てこった!
これで今日の撮影はお釈迦になった。
「最悪上だけでも着てバストショットで撮れば?」と野坂氏は助言してくれたが、やはりあまりにつんつるてんでカッコ悪すぎる。この格好でこんな観光地をウロウロしていたらもうそれはただの恥である。というかただの怪しい変なおじさんである。だっふんだぁ!
私はそれからも何度も何度も風呂敷の中を探してみたが、やはり袴はなかった。
…何やってんだ…俺…一生の不覚だ…。
私はもう自分のアホさ加減に落胆した。腹を切って自害したくなった。何でこんな肝心なところで大事な物を忘れるんだろう…。ホトホト自分というものがイヤになった。
もうこの先、何をやっても上手くいかないのではないか?私の人生お先真っ暗だ!
…いや、本当にそのくらい落胆したのだ。きっとそれは袴のことだけではなくここ数日のことが全て重なってそんな暗澹たる気分になったのだろう。もう私の先行きにはひとかけらの光もさしてはいないように感じられた。
こうして私はせっかくロスでの面白映像の撮影チャンスを自分のつまらないミスのせいで逃してしまった。一体何のためにはるばる海を渡ってここまで来たのだろう。全ては徒労に終わるのか…?

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