8月13日(月)午前
仙台から盛岡に向けて東北自動車道を北上している途中だった。
岩手県の水上に差し掛かったあたりでカミさんが、「そういえば水上はウタの実家があるんだよ」と言った。ウタというのはこのブログでも時々登場する
コシェルの女主人、詩子さんである。
「今実家のすぐ近くを通ってるよって、メールしてみたら?」と私は運転しながら提案した。
カミさんは傍らでメールを打って返事を待っていたが、返事はメールではなく着信で来た。カミさんが出ると詩子さんの声で、
「…今すぐ降りて!」
ちょうど目の前が水上インターだった。訳も解らず言われるままに高速を降りると、何と詩子さんはちょうど今帰省して実家にいるということだった。詩子さんのお母さんの道案内によって私たちは詩子さんの実家を訪れることとなった。
詩子さんの実家はお面などの工芸品を造っている工房である。詩子さんがバッグや雑貨を造っているのも血筋なのだろう。今回お父さんにはお会いできなかったが、楽しいお母さんが出迎えしてくれてメロンをご馳走になった。
さらには記念に売り物のお面まで頂いた。大変有難いことである。
詩子さんもまさかここで私達に会えるとは思いも寄らなかったようで(それは私達とて同じことなのだが)、終始驚いたような興奮気味の様子であった。大きな目がさらに大きく見開かれていた。最もそれ以上にカミさんも興奮していてただでさえデカイ声が余計にデカくなっていた。
しかし、それも無理からぬくらいの偶然の再会である。きっと私の提案が、カミさんのメールが、詩子さんの返事があと一分遅かったら、ここでこうして会うことはなかっただろう。きっと水上インターを通り過ぎていたに違いない。
先を急ぐので滞在した時間はそれ程長くなかったが、この一件によって旅のテンションはさらに高まったのであった。

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