昨日、高瀬組のV撮りの後、関係者と飲んだ。
前田さんという今回は出演はしていないが、ワークショップに参加していた役者さんと帰りの電車で一緒になった。初対面ながら「完全にアウェイの劇団で芝居をする苦労」について物凄く盛り上がった。
私なんか自分の主宰するプロジェクトを持ってはいるが、そこではもっぱら作・演出がメインなので外部出演するときはほとんどアウェイだ。その中でも自分の価値観がまったく否定されるような完全なるアウェイというものが時には存在する。
その中では何をやっても裏目に出て、結局自分の存在自体が悪であるかのように思い込まされてしまう。後になって冷静に考えれば自分なりのやり方というものも確かにあるはずなのに、その集団のなかにいると全員がそこの価値観を正しい物だとしているから、どうしても自分が間違っているような気がしてしまって、どんどん自信を失ってしまう。やがては芝居以外の生活態度や生き方にまで攻撃は及んで、結果人格否定のような個人攻撃にまで及んでしまうこともある。
私も前田さんもそういう経験があったので、電車を乗り換えるまでずっと話が尽きることがなかった。
「そういう時ってさ、本番観に来てくれたお客さんに「頑張ってたね」って言われるだけで涙がでるくらい嬉しいんだよね」
「そうそう!本当は「頑張ってる」姿なんて見せちゃいけないんだけどね」
「でもその時は心細くて、もう藁にもすがりたい気分なんだよね!」
「そうそう!」
そういう経験ってやはりみんなあるものなんだなぁ。
自分だけじゃないんだ、って思うと何だか心が軽くなった。
また今度、じっくり飲もうと約束して私は前田さんと別れた。

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