「残月」が終わって、初めての「ひめ壱」。
殺陣ってこんなに楽しかったんだ。
私は全てのくびきから解放されていた。気持ちが軽いと身体も軽い。
「もうTシャツの皺ひとつまで気にしながら殺陣をやらないでいいんだ」
もちろん比喩的な意味であるが。
もちろんできてないところはいっぱいあるし、それは自分でも解るがそれによって誰かに迷惑がかかるわけじゃない。焦りや気負いもない。
私は自分が楽しいからやっている。やりたいからやっている。そこに一切の嘘はない。
「殺陣とはもともとそういうものなんだよ」
稽古後にビールを飲みながら、加藤さんが言った。
ずいぶん遠回りをしてしまったようだ。

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