切目崎の国道のフリッシュ
切目崎あたり、国道42号左手にみえる切通しのフリッシュ 手前は国道に面した畑
以前、メールをいただいたフリッシュについて、おそらく印南を過ぎて切目崎のところの国道42号線から見える切通しのフリッシュではないかと思います。写真に撮っておきました。
海底で堆積し、地殻変動によって隆起した見事なフリッシュです。砂岩と泥岩の層がほぼ等しい量なので「等量フリッシュ」と呼ばれるのだと思います。
ただ、地上に出て風化が激しく、泥岩部が特に崩れやすくなっていて、ばらばら崩れていますので、天気が続くと砂岩層と泥岩層の境目が分かりにくくなっています。雨などで洗い流されると、少しはそれぞれの地層が明確になり、ややくっきりとした平行模様(実際は地層が縦に立っているかもしれません)が浮き出てくるようです。
道路をつくるための切通しのようで、下の写真のように畑側は地層が垂直に近いほど立っています。すごい変動があったと思われます。
左側の畑の地層は垂直に立っています。
いただいたメール
『メールで失礼致します.
小生 先月 和歌山の印南ー岩代間の42号線沿いに新しく工事中の切通で,すばらしいフリッシュを見ました.
自分は関西在の機械設計屋で仕事柄 振動に関心を持っていますが同地のフリッ シュのあまりにも周期が一定しているのに大変興味を持ちました.
この様な地層のフリッシュの周期は何年位なのでしょうか? また周期の起因は何なのでしょうか?
仕事柄振動の原因につい目が行ってしまいます. 御教示戴けたら幸いです.』(5月30日)
『 メールありがとうございます。
全くの素人ですので分かりません。ただ分かっているところまで記します。
紀伊半島の西海岸、和歌山市の加太から南の串本までの間に「フリッシュ」、砂岩 泥岩互層があちこちに露出しています。例えば、椿から白浜に向けて帰る途中、国道を走っていると椿のカーブの厳しいところで車から眼下の海岸に規模が小さいのですが洗濯板が見えます。近いうちにブログに記録しようと思っています。
ご指摘のあった場所は、四万十帯(日高川層群、音無川層群、牟婁層群)の地層の
音無川層群羽六累層に属すると思われます。
私は、写真で見ただけなのですが、印南町畑野崎では見事な砂岩泥岩互層の洗濯板
が見られるようです。国道筋の切り通しで見られたフリッシュも畑野崎の地層も同質のものと思われます。
和歌山県側の地層のフリッシュがほとんどタービダイトからなっているといわれて
います。
タービダイトとは、陸から運ばれた砂や泥がいったん浅い海で堆積し、それが地震などが引き金になって雪崩のように海底斜面を流れ下り、より深い海底へ運ばれ再度堆積したものです。このような流れを乱泥流、その結果形成された堆積層をタービダイトと呼ばれています。その海底土石流のきっかけは、地震説や洪水説などがあるようです。
一回の土石流の結果、砂・泥が一つのユニットとして地層が形成されて、これを繰
り返して何百何千という地層の重なりをつくり出しています。
お尋ねの周期の起因は、今のところ地震、洪水などによるものと考えられているよ
うです。起因が明確になれば、過去の地震や気候変動などを復元することが可能に
なるかもしれません。
また、その周期は地震の周期に対応しているならば、数十年から数百年ということ
になるだろうし、洪水説なら毎年のように洪水が起こる可能性があったと考えられます。専門家(地質学者)は分かっているのかも知れませんが、素人の私にはそれ
以上のことは分かりません。
お答えになったかどうか分かりませんが、周期について私の学習課題にもしておき
たいと思います。』(6月1日)

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