白崎海岸の石ころ(4)
白崎に天然水が湧き出ています。石灰岩の岩山をくぐって流れ出している水でカルシウムが含まれているのが特徴です。ポリタンクに汲んで飲用水などに使わせていただいています(煮沸している)。白崎海洋公園入り口の300メートルほどの手前のところ、県道の山側落石防止壁に地元の方だと思われますが蛇口と容器を置く台までつけて誰でも自由に自然水を利用できるようにしてくれていました。
ところが、残念なことに台風23号の影響で公園内のいろいろな施設、たとえば展望台へのループ状の階段、トイレなど無残にも破壊され、スキューバダイビングハウスも閉鎖されています。また、道路、防波堤なども痛めつけられていて、片側車線通行になっており、復旧工事が進められている状況でした。
特に驚いたのは、道路沿いの防波堤に二ヶ所コンクリートの階段が設置されていたのですが、大波によって剥ぎ取られ何メートルか離れたところに埋もれていました。したがって、石灰岩や緑色岩、チャートの大きな石ころが重なり合っている美しい海岸に下りることができませんでした。
コンクリートの階段が破壊された海岸 ↑
公園内の売店の方から、大引きの港の「テトラポットがニ、三個浮き上がって移動していた」という話を聞き、シケの凄さ、波の威力にあらためて驚かされました。
先ほど紹介しました県道の山に沿った防壁につけられていた水を汲むための蛇口や台も吹っ飛んでありません。流れが少し変わったのか、別の穴から水がたくさんでていましたので、今回はそこからポリバケツに注ぎ込んできました。
夕日を撮影に来られていた人が、「来るたびに、白崎が崩れていっている」と話されていました。いろいろな施設ができて便利になってきていますが、同時にそれは自然を破壊していることと同じという意味で話されていました。昨年は、たくさんの台風の襲来と洪水、新潟中越地震、スマトラ島沖地震による大津波、・・・まさに災いの年でした。しかし、考えてみればこれらみな自然の営みの姿であり、悲しいけれど自然に抗えない人間の弱さを見せ付けられた思いです。けれども、この困難を力合わせて助け合って乗り越えていけるのは、人間のたくましさであり、すばらしさではないでしょうか。
日本の渚百選、夕日百選に認められている白崎海岸、万葉集に詠われている「白崎よ、どうか無事で待っていてほしい・・・」いま同じ願いで、青い海と白い石灰岩の眩しい風景を思い浮かべています。

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