一枚岩
圧倒されそうな大きな岩の壁 季節により、桜や紅葉を楽しみながら岩を鑑賞するのもいいものです
古座川の河口から二十分ぐらい遡っていくと、川の流れに沿って山をすぱっとぶった切りにしたような一枚岩がそそり立っています。高さ100m、幅が500mあるといわれる岩の屏風です。ここには何度か訪れていますが、その度にどうしてこのような状況が生まれたのかその不思議さと自然の偉大さに感動します。
お土産物が並び食事が出来る「鹿鳴館」 このそばから川原に下りることが出来る
古座川をはさんで対岸から眺めるという位置にあり、岩肌に触れて確かめてみるということはできませんが、岩は石英粗面岩と説明されています。あの熊野の鬼ヶ城の岩石と同じです。要するに(黒雲母)流紋岩なのです。
どうしてここに流紋岩という火成岩が存在するのかといえば、「滝の拝」のところで記しましたが熊野層群が隆起して陸になったときに岩石の割れ目に沿って噴出したマグマが固まってできた環状火成岩脈(古座川弧状岩脈)で、それが見事に顔を出しているのです。
川原の石ころは砂岩でした
川原に下りて石ころをみると、ほとんど白い砂岩でした。牟婁帯の堆積岩になるのでしょう。
アーバンクボタ誌 図7・1「南紀の温泉および中新世火成岩脈の分布」より
古座川流域は牟婁層群、熊野層群という二つの堆積岩と、環状火成岩脈(熊野酸性岩)、橋杭岩から延びる火成岩(石英斑岩)などのふたつの火成岩にかかわって見事な自然の彫刻や渓谷を見せています

1