二枚貝
私にとって湯浅の矢田で採取できた主な化石は、二枚貝のイノセラムス、ウニ、トリゴニア(三角貝)、これらの三種類です。
それに古代アマモと信じていたのですが最近は生物が住んでいた生痕(せいこん)化石という説もある化石です。
それは何かの木の枝か、植物の茎のようにも見える化石で、いまでは木の枝ではないかと考えているのですが、この化石もよく見つかります。
それら以外にアンモナイト、シダは一度しか出会えていません。
この場所で手に入れることができたイノセラムスは、1cm足らずのものから3cmぐらいまでのものが主流です。
ところが、昨年の秋に、大きいイノセラムスのちょうつがい(蝶番)の所がポコッと出てきてとても興奮しました。
全体の大きさは分かりませんが、この蝶番の部分からすると5cmを越えるものと想像できるもので、私にとってはとても大きいイノセラムスです。
イノセラムスの特徴は、ちょうつがい線に歯がないというところにあり、他の二枚貝との違いです。
殻は薄いようで、共心円肋(ろく)が発達しています。
しかし、いうまでもなくあの白いカルシウムが溶けてなくなっており、輪の見えなくなっているものが多いです。
図示された標本を見ると翼状部が描かれているが、ここで採取したイノセラムスにはその翼状部は見られないようです。
日本産の中生代二枚貝化石の研究は、エドモンド・ナウマンが四国・佐川盆地の三畳紀層産二枚貝化石を報告して以来、約100年の歴史があるそうです。その間、約900種が記載・命名され、世界に誇るべき研究の成果が上げられていうといわれています。
その中でイノセラムスは多くを産出する種類のひとつで、アンモナイトとともに白亜紀の示準化石になっています

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