紀ノ川(吉野川)の石ころ(11)
『黒色片岩』
五月の連休最後の日に、紀ノ川の源流にある川上村に行ってみたくて車を走らせました。言うまでもなく石ころが目当てです。いままでも何度か川上村には立ち寄っていたのですが石ころに関心がなかった頃なので川原に下りることはなかったのです。
奈良県にはいると紀ノ川は「吉野川」に名を変えます。とちゅうで、五條市の今井町3丁目の交差点を国道24号線からはなれて南に折れていくと、まもなく吉野川の堤防に行き着きました。まず、このあたりの石のようすを見ておきたかったので立ち寄りました。堤防にのぼって川原を探すと、運よく石ころの広場が近くにありました。どんな石ころに出会えるか楽しみでした.
比較的大きい石ころがたくさん転がっていました.紀ノ川で見てきた石ころはほとんでみられました。それでも気にかかる石ころを幾つか拾っているうちに、灰黒色で光沢のある「黒色片岩」が目立つことに気づきました。大人の手のひらをひろげたぐらいのものや、それ以上の大きな塊のものが多いのです.きっと、比較的近いところで転がりでているにちがいありません。片理がとても発達していてうすくはがれるように割れます.片理面は、ぬめっとした手触りがして、うねっています。断面は、薄い紙の板を何枚も何枚も重ねたようにみごとに縞模様をみせています。こうした特徴から明らかに黒色片岩にちがいありません。「なんでやー、なぜ、ここらあたりに黒色片岩が多いのだ?」と叫んでしまいました。その理由はすぐにわかりました。

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