紀ノ川の石ころ(10)
『石英』
粉河の竜門橋の下で今までで一番大きい石英を見つけています。両手で抱えないと持てないほどの大きさで、真っ白い美しい石です。よほど厚い石英脈から割れて転がり出たのでしょうか。花こう岩などの石英は、透明感のある結晶ですが、岩脈として見られるときは白く輝くようにみえます。さらに、硬度が7(ダイヤモンドは10)もあり、とても硬く、ガラスのような光沢を示しています。石英脈の空洞には、ときには六角柱状の美しい結晶の「水晶」が成長します。
石ころを形づくる主要な鉱物(造岩鉱物)は、石英、斜長石、カリ長石、角せん石、黒雲母、輝石、かんらん石、などです。石ころ(岩石)は、おもにこれら7種類の鉱物のいろいろな割合の組み合わせでできているのです。
石英は、ほぼ100%の珪酸SiO2からなるシリカ鉱物です。玉髄(縞模様のあるものは「めのう」です)やオパールもシリカ鉱物です。約1700℃以上に加熱すると溶け始めます。圧力も関係しているのですが、温度によって化学組成が同じで結晶構造が異なる現象を「多形」というそうです。
シリカ鉱物を含む岩石はたいへん多く、花こう岩、石英斑岩などの酸性火成岩(SiO2の含有量が66%以上の火成岩)・片麻岩などの変成岩・砂岩、チャートなどの堆積岩の主要な構成鉱物になっています。

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