紀ノ川の石ころ(4) 「紅簾(れん)石片岩」
小さい三角の石が小倉の山の「紅簾(れん)石片岩」です。他は紀ノ川の河原で見つけました。
どの石も美しく見えるのですが、とりわけ「紅簾石片岩」は、淡い赤紫色がにじんで絹糸のような光沢をもつ美しい石です。ピンク色の紅簾石と石英、絹雲母などが薄い層をつくってできているためでしょうか、うすいピンクの絹の布が光沢を放っているようにも感じられます。ところが、車の中でもう一度見直してみると、「あれ、黒色片岩になってしまった!!」と思えるほど、淡い赤みがかった色が消えて見えるのです。それほど光の反射でちがってみえる微妙な色合いを持った石ころなのです。
紅簾石片岩が小倉の山で観察できるというので出会いに行きました。和歌山高校の正門前の道路(貴志川ゴルフ場への道)を200メートルほど上ったところの右側の山すそに、ちょこっと顔をのぞかせていました(露頭)。そばにいってかけらを手にもってはじめて、赤紫色の紅簾石片岩であることがわかりました。紀ノ川で拾った紅簾石片岩は透きとおるような美しさがあるのですが、ここの石は重厚な感じがします。
1888(明治21)年、東京帝大・小藤文次郎博士が、三波川変成岩の研究により、紅簾石片岩を初めて発見、日本の美しい結晶片岩の産出を学会に紹介して世界中の注目を集めたそうです。
紅簾石片岩は、徳島や愛媛県に好産地があり、したがって四国の吉野川のものが日本でいちばん美しいといわれています。

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