由良のキダリス(3)
大岩の頭の近くに立てられている看板
大岩の右半分は、サンゴや層孔虫、貝類などの殻が堆積して出来た、まるで砂岩のような感じの石灰岩で硬いキダリスの棘がそのまま含まれているのが見えるのです。左半分は黒っぽい泥岩と石灰岩をこねたようなもこもこした岩になっています。
木が茂っていて空間がないと思っていた「大岩」の頭に登ってみると,案内の立て札が立てられていました。そこに次のように説明されていました。
『 国指定天然記念物
門前の大岩
この岩は今より一億五千万年ほど前の中生代ジュラ紀に成立した鳥ノ巣石灰岩という堆積岩からなり、岩の中には全国でも数カ所しか確認されていないキダリスの棘の化石が多数包蔵されていることから、国の天然記念物に指定されている。(昭和十年十二月指定)
キダリスは、熱帯の海にすんだウニの一種で主に長さ2cm前後の太いとげの部分が化石となっている。
昭和六十二年三月 由良町教育委員会 』
「鳥ノ巣石灰岩」というのは、高知県高岡郡佐川町を中心とする佐川盆地の中の鳥ノ巣という地名から来ています。
佐川町は西南日本外帯の秩父帯に位置していて、古生代シルル紀から中生代白亜紀の各年代の地層が東西の帯状に分布しているところで、「地質学のメッカ」とも言われています。この佐川の中心部に鳥ノ巣層群があり、泥岩、砂岩、などからなり、特に暗灰色瀝青(アスファルト)質石灰岩をはさむのが特徴で、そこにはジュラ紀から白亜紀初期の二枚貝、サンゴその他多くの化石を含み、ナウマンカルストに代表されるカルスト地形も見られます。
この石灰岩が最もよく観察できる典型的な地点として、即ち模式地として鳥ノ巣が決められ、「鳥ノ巣石灰岩」として由良の白崎そして大岩は言うまでもなく、東は阿武隈、西は九州南部まで太平洋沿岸に点々と分布しているのです。
大岩の頭に登ってみようとしなかったら見逃していた説明板、おかげで「地質学のメッカ」と言われる佐川町やナウマン博士の世界が広がりました。
大岩の頭のちょっとした空間から、右手下に国道42号、JR由良駅あたりが見えます

0