『
孫子曰く、凡そ兵を用うる法、将、命を君より受け、
軍を合し衆をあつめ、交和して舎す。
軍争より難きはなし。
軍争の難きは、迂を以て直となし、患を以て利となす。
故に其の途を迂にして、これを誘うに利を以てし、
人に後れて発し、人に先んじて至る。
これ迂直の計を知る者なり。』
そもそも戦争は、先ず将軍が君主の命を受け、
兵士を集めて部隊を編成し、ついで陣を構えて敵と
対峙するという段取りで進められるが、
もっとも難しいのは武装闘争、つまり戦闘の進め方である。
戦闘の難しさは、
”
遠回りをして却って早く着く”
”
禍転じて福となす”という戦術をいかに使うかにある。
敵より遅れて出発して先に到着する。
これが”
迂直の計(急がば回れの計略)”を
把握している指揮官の戦い方である。
”
迂”とは回り道、”
直”とは直線である。
『
2点間の最短距離は、その2点を結ぶ直線である』
ユークリッド幾何学のこの定理は誰でもよく知っている。
戦場に向かう時には、敵もこの原理を弁えて直行する。
そこで、わざと遠回りして敵の油断を誘う。
その上で電撃的に奇襲するのが”
迂直の計”である。
常識の裏をかき、敵を安心させておいてから急襲するの
だから、勝利は間違いない。
”迂直の計”をつ買って勝利を得た例を一つご紹介しよう。
1982年4月、イギリスの植民地だった
フォークランド諸島は、
ナショナリズムを叫ぶ
アルゼンチンによって、
突如占領された。
実際には、イギリスから遠く離れたこの島は、
漁業基地以外には利用価値が少ない。
在留するイギリス人の数もたかが知れている。
放棄してもどうということもない。
だが、大英帝国の面子上、また
侵略行為には反対する
政治的立場からして、手をこまねいて見逃せなかった。
サッチャー首相をはじめてイギリス政府は、主権の確保、
名誉と誇りの維持、侵略反対などのために、武力で
奪回する決意をした。
問題はその遠さである。フォークランド諸島は
アルゼンチン本土から1万6千キロも離れている。
イギリス海軍が全速更新しても1週間以上はかかる。
そこで、イギリスは兵法でいる”
迂直の計”を使った。
先ず、急遽、国連安保理事会の開催を要求した。
この緊急理事会にはイギリスとアルゼンチンの双方が
代表を出した。
その席上、イギリス代表は
歴史的事実を元に
同島がイギリスの
固有領土であることを述べるとともに、
アルゼンチンの
不法侵略を強く非難した。
さらにイギリス側は、もしアルゼンチンが安保理事会の
勧告にしたがって話し合いに応じるなら、出動中の
機動部隊を呼び返すというゼスチャアをちらつかせた。
その一方で、サッチャー首相はレーガンアメリカ大統領に
対し、イギリスの武力行使の決意を密かに伝え、
その支持をとりつけた。
そして、国連の安保理事会での決着を出来るだけ引き延ばす
ように、各理事国に根回しを続けた。
かくして、安保理事会でイギリスとアルゼンチン代表の
丁々発止の討論が延々と続けられた。
時間を稼いでいるうちに、イギリス海軍はフォークランド沖
に到着し、精鋭を誇る海兵師団を上陸させたのである。
同島を占拠していたアルゼンチン軍も奮闘したが、
イギリス軍の陸・海・空からの攻撃で壊滅し、
1週間後には同島最大の都市スタンリーを占領されて、
ついに降伏した。
こうして、フォークランド諸島には再び
ユニオンジャック旗が翻った。
政略と
戦略をうまく使った”
迂直の計”で、
イギリス側の完全勝利に終わったのである。
『「孫子」を読む』(松本一男著:PHP文庫)
行く所まで行ってしまった感がある、
かの国。
(
産経抄 平成18(2006)年5月18日[木])
テレビなどでは、
勝谷誠彦氏が孤軍奮闘していますが、
日本の領土を侵略されているということに対して、
国民の一人ひとりがしっかりとした認識を持たないと
いけないと思います。
ことなかれ主義で放置、話せばわかるといった
日本的な交渉の結果がこれ。
他国と交渉するのであれば、違うものは違う、
NOははっきりと言わなければなりません。
領土問題について、不法占拠は国内での熱狂的な
支持を得られても、国際社会では、支持を得られないでしょう。
もし、そんなことが許されるのであれば、各国が挙って
国境を好きなところに引っ張り合って、世界大戦。
半世紀近く、実行支配を許してしまったため、
たとえ日本に不利な結果になったとしても、
国際司法裁判所での平和的な解決を望みます。
「独島領土は歪曲」 韓国人学者、異例の批判論文
(
Sankei Web)
『
拝啓、ジョン・レノン』
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