前回の記事「
三井ホーム、パナホーム、ダイワハウスの欠陥住宅」で紹介した契約解除に至った施主の方のブログ
◆注文していない注文住宅
◆おとだ家のおうち
の両方の記事に出てきて気になった言葉に「民法を切っている。」というものがありました。
私も初めてこの言葉を見たときに、民法第234条の「建物を築造するには,隣地境界線から50cm以上距離を保たなければならない。」という規定の50cmを割り込んでしまったという意味なんだろうなと思いつつ、自信がなかったのでググってみました。
すると、意味としては当たっているようですが、建築用語としてはHITするものがありません。
どうも業界用語としても一般的ではないようですが、契約解除に至った業者がともに「民法を切ってしまった。」と表現していることに大変、興味深いものを感じました。
初めての経験であればなかなかでない言葉でしょうから、以前にも問題になったケースがあるのではと推測できます。
なぜ、そんなことが起きてしまうんだろう?
建築基準法では、特にこのような基準はありませんので、建築確認申請では仮に図面で境界線から50cm以上が確保されていなくても申請は通るものと思います。
ただし、民法では第234条第2項で、「前項の規定に違反して建築をしようとする者があるときは、隣地の所有者は、その建築を中止させ、又は変更させることができる。」と規定していますので、その危険を避けるためにはどうしても隣地所有者の同意を得ておく必要があります。
なにより、これからお隣さんと付き合っていくのは施主ですから、施主としてはできるだけお隣さんとの関係を悪くしたくありません。
そう考えれば、あまり境界線に迫って建築するのは気が引けます。
しかも、民法にそんな規定まであるとなると、それは絶対に守りたいところ。
にもかかわらず、上記のブログに出てきた2社は故意かどうかはわかりませんが、施主に説明もなく、「民法を切ってしまった」わけです。
施主の立場に立った家づくりができていない証明ではないでしょうか?
施主にそれに関しての知識があれば、最悪でも地縄張りの段階で気がついたはずですが、素人は業者がまさかそんなことをするなんて思っていないですからね。
それに、地縄が壁心で張ってあれば、それより壁厚の1/2(普通の軸組工法で7〜8cm)は狭くなる訳なので、見た目では気がつかなかったのかもしれません。
(50cmというのは、境界線から外壁の外面までです。)
ちなみに我が家では、元大工の親父から、境界からは1m離せと言われていました。
しかし、37坪の土地ですからそう言うわけにもいかず、それでも壁心で80cm離して建築しました。
鹿児島では商店街などを除いて、ほとんどの住宅地で新築する場合は、この50cmが守られているように思います。
現実問題として、メンテナンスの際の足場組などを考えると、どうしても50cmは欲しいところではないでしょうか?
ただ、都会では普通にもっと接近して立ち並んでいるのが現実です。
民法でも第236条に、これと異なる慣習があるときは、その慣習に従うという規定もありますので、50cmが絶対ではないわけです。
でも、施主としては隣人とのトラブルは避けたいですから、業者が50cmを割り込む設計をする場合には、施主に説明した上で、隣地の所有者にお願いしてみるという姿勢が必要でしょう。
施主からもお隣さんに、お願いとお礼をしておけば、将来的にトラブルになることも避けられます。
できることなら、50cmは確保して設計をしてもらいたいところですが、
なお、防火、準防火地域では、外壁が耐火構造の場合、境界に接して建築することができます。
これ、宅建試験では必須の問題です。
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ガンにも負けず高気密・高断熱の家づくり日記

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