当然と推論

2010/11/20 | 投稿者: mayfirst

 田中芳樹先生の「白い迷宮」の中にでてくるセリフ「尋けば何でも答えてもらえるとでも思ってるのかい。そりゃ甘い考えだろうさ」は名言だと思うmayfirstですこんばんは。そう、NPCたちだって、自分たちの都合でPCからの質問をはぐらかしたり、時には嘘をついたりすることもあるのですよ。

 今回はPBeMにおける「当然の推論」について。

 同人PBM「箱庭物語」の公式ブログにて、「この世界に○○は存在しますか」という旨の質問を複数いただいていますという内容の記事がありました。

 箱庭物語〜ぼくらがくらした。〜公式情報ブログ
 http://mitopbm.uni.noor.jp/

「リアクションには描写されていないけど、そこに○○というアイテムはあるのか」という質問は、自分も同人PBeMを運営しているときに何度か受けたことがあります。そして、その質問に答える際にゲームマスターが使うのが、冒頭に書いた「当然の推論」という考え方なのです。
 当然の推論とは、エンターブレイン刊「クトゥルフ神話TRPG」のリファレンスに載っている言葉で、その意味を本文から引用すると、

 その部屋あるいは洞窟あるいは飛行機そのほかの物理的な環境の中に、あると描写はされてはいないが、理論的に言って当然あると推論されるすべてのもの

 ということです。
 例えば、拙作「雪色の妖精」に登場した喫茶店『沙雪』の店内にプレイヤーキャラクター(以下PC)たちがいるとしましょう。リアクション本文で描写されたのは、店内はカウンター席が5つとボックス席が3つあり、店の奥にはお手洗いのドア、カウンターの裏には厨房への入口があるということだけ。では、他にはどんなものが店内にあると考えられるでしょうか?
 喫茶店だから当然コーヒーカップやガラスのコップ、お皿やフォークなどの食器はたくさんあるでしょう。カウンターの裏にはコーヒーサイフォンがあり、会計用のレジスターもあるでしょう。ボックス席は大きな窓に面しているかもしれません。お手洗いにはトイレットペーパーがあるだろうし、厨房には包丁やボウル、寸胴などの調理器具や何種類もの調味料があり、卵などの食材は業務用の冷蔵庫の中にしまわれているに違いありません。また、店が営業中であればカウンターでグラスを磨く店主や、お客の注文を聞いているウェイトレスの姿を見ることができるでしょう。
 この当然の推論という考え方は、プレイヤーの側でも積極的に使うことができます。例えば、上記の状況で「店に近づきつつある怪物たちから身を守る」というアクションを考えるとしたら、店内にあるもので武器として使えそうなものは何があるでしょうか。
 包丁やフォークは直接的な武器として使えそうです。お皿を投擲するというのもありですし、調味料のコショウは壜のふたを開けて投げつければ目潰しとして使えるかもしれません。店内を掃除するためのモップは当然あるでしょうから、それを振り回すことだってできるでしょう。もし怪物の弱点が炎だと分かっているのなら、モップの柄に雑巾などの布切れを巻きつけ、ブランデー(ケーキの材料でもあります)や食用油を浸すことで即席の松明を作ることもできます。寸胴のふたは盾代わりに使えますし、ボックス席のソファやテーブルを入口や窓の前に積み上げてバリゲードにすることもできます。「雪色の妖精」第5回リアクションで実際に採用した、「湯沸かし器からホースを伸ばして妖精に熱湯を浴びせかける」というのも、当然の推論に基づいた実に良いアクションだと思います。
 当然の推論によってその場にあってもおかしくないアイテムならば、いちいちゲームマスターに「そこに○○はありますか」といった質問はしなくても構いません。ゲームマスターは、それがよほど状況に矛盾していない限り――たとえば砂漠の真ん中で薪を集めるなど――、「そのアイテムはそこにないから無理」という判定はしないと思います。もっとも、アクションの判定で重要視されるのはアイテムの有無ではなく「そのアイテムをどう使いこなすか」という点ですので、当然の推論に基づいたアクションであっても必ず採用されるとは限らないのですが。
タグ: PBeM



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