太宰と道化

2006/5/24 | 投稿者: mayfirst

 今回はいきなりレビューから。


 読んだ本レビュー
 クリックすると元のサイズで表示します
 『“文学少女”と死にたがりの道化』
 著:野村美月 エンターブレインファミ通文庫

 物語を食べちゃうくらい(比喩的な意味ではなく)深く愛する“文学少女”天野遠子と、平穏と平和を愛する『今は』平凡な男子高校生井上木葉、この二人が唯一の部員である文芸部に、何故かある日下級生の女の子から恋文の代筆の依頼が持ち込まれます。が、その下級生の想い人(弓道部の先輩)というのが、実際には存在しない人間で……
 作中に頻繁に引用される太宰治の『人間失格』が、謎の解決の糸口になるのですが、別に『人間失格』を読んだことがなくても十分読み進めることが出来ます。学園ミステリーものですが、ストーリー展開は割とシリアス、というか重ため。しかし、読んでいる最中にそれをあまり感じさせないのは、物語を食べる妖怪(と呼ばれると本人は怒る)天野遠子の存在でしょう。物語の書かれた本のページやレポート用紙や原稿用紙などを破って食べるというファンタジーな設定や普段は能天気で子供っぽい言動が、本来はシリアスで重過ぎるはずの物語をうまくエンターテイメントに仕立てています。このあたりのバランス感は本当に見事。


 ……さて、実はこの本、先日もここで書いた某出版社の書店向けのDMにて紹介されておりました。
 「『太宰治』と『人間失格』という言葉に反応する方は読むべし&売るべし」って……DMの冒頭でいきなり他社の本を薦めるのは如何なものかと思うのですが(笑)。



コメントを書く

名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL





AutoPage最新お知らせ